.

邪願霊

邪願霊 [DVD] ほんとにあった怖い話 完全版 [DVD] ホラー映画の魅力―ファンダメンタル・ホラー宣言 (岩波アクティブ新書)
駅ビル(ほぼ毎日寄る書店が入ってる)のテナント街の片隅に仮設されてた中古ビデオ&CD
スタンドをなにげなく覗いて(こういうところは必ず覗く)、思わず目を疑った。
目の前の棚に『邪願霊』のビデオが置かれていたのだ。しかもすぐ隣には『死霊の罠』と
死霊の罠2』が。いずれも一昔前ぐらい(かどうか漠然とだが)にレンタルビデオで見て
かなりな衝撃を受けた作品群だ。とくに『邪願霊』はアマゾン見てもDVD化されていないよう
だったので(とてっきり思ってた)、もう一度見れるなんてことほとんど諦めてたものだった
だけに、内心快哉を叫んだ。しかも3本で1050円セール。しかしもう一本欲しかった
アイドル映画のがあったので、迷ったあげく(迷わず全部買やいいだけのことだが、根が貧乏性
だから)とりあえず『死霊の罠』は見送ることにした、『2』のラストでの佐野史郎の怪演に
とにかく惹かれてたから。
で『邪願霊』だが、あとで気づいた、アマゾンにないわけだと。ずっと『邪眼霊』だと
勘違いしてたんだな。でもそりゃするでしょこれは。現に同じこと書いてるブログもあるし。
でその『邪願霊』だが、去年DVD化されてるとわかった。上の左の絵がそれで、VHSと
類似のパッケージだ。もうちょっとなんとかならなかっただろうか、せっかくジャパニーズ・
ホラー(この呼び方は実はちょっとむず痒い、とくに嫌いってわけでもないが)の原点といえる
作の再発売なんだから、今どきのホラーっぽい売れ線狙いのデザインに変えてもよかった
ような気がする(これはこれで独特で嫌いじゃないが)。竹中直人はべつに主演じゃなくて
チョイ役ゲスト出演なんだし。
で、とにかくその『邪願霊』だが……映画のことをなにも知らない筆者がここでつべこべ
書いても仕方ない。これが脚本家デビュー作だったという小中千昭の『ホラー映画の魅力
ファンダメンタル・ホラー宣言』にこの映像作品が創られた経緯とその思想がすべて書かれてる。
とにかく、今のいわゆるJホラーの原点だ(こればっかだな)。
で、うかつにも今回気づいたことだが、一緒に入手した『死霊の罠2』も小中千昭脚本だった。
で、自分が持ってるVHSの山をひっくり返してみると、他にも『学校の怪談f』と
『新ほんとにあった怖い話 幽幻界』があった(他にもあるかもしれない)。それらは例によって
中古で買ったものだが、他に『インスマスを覆う影』もあり、これは新品を8000円も出して
買った(VHSとしてはそれでも安いほうだよな)。
しかも、持ってはいないがかつてレンタルで見て気に入ってた作、たとえば『DOORⅢ』
(田中美奈子)や『呪われた美女たち 悪霊怪談』(ギリギリ・ガールズ)や『ディフェンダー
(菅野美穂)も小中作だと知った(とくに『呪われた…』は今やミスチル桜井のカミさんとなった
吉野美佳(注・公佳ではない)熱演で、めちゃ怖い)。
ちなみに『インスマス…』はDVD化されたこともあるようだが、『学校の怪談f』はどうも
VHSのみのようで、これももったいない(他に『R』『G』もあるらしい)。なお『ほん怖
幽幻界』は上の絵の真ん中『ほん怖完全版』に収録されてるとのこと。全作小中脚本・
全作鶴田法男演出で、これ最強、これまた原点でしょう(実は持ってない、買わなきゃ)。
なお『ホラー映画の魅力』はいわゆる小中理論について本人が語ってるたぶん唯一の
出版物で、必読。駆出しのころの著者が鶴田と一心同体のように活動してたことがわかったり、
映像技術の専門的なことがわからないながらもわかった気になれたりするのも面白い。
巻末に高橋洋清水崇それぞれとの対談も収録されてる。
思えば、高橋・清水は今や世界のホラー映画を牽引してるといってもいいほどなのに、
彼らの原点ともいえる小中は、その秘めたる功績の割にもうひとつ恵まれていないように
見える(素人が外側から見たかぎりでのことだが)。ここらで一発、『邪願霊』を今向けに
リメイクしてドカンとヒットを飛ばしてくれないものだろうか。