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「はてしなき恋」始末

「はてしなき恋」についてはここ→http://d.hatena.ne.jp/natsukikenji/20071228とかここ→http://d.hatena.ne.jp/natsukikenji/20080115で書いたが、フランク永井によるカバーがなんとCD化されてることを知り即ゲットした。

このMEG-CDってのはある種オンデマンドの復刻レーベルみたいなものらしいがhttp://meg-cd.jp/ことフランク永井に関してはこの他にも多数出てる。しかもこの写真で判るようにジャケ写&CD本体ともに往年のアナログ盤をそのまま模してるようだ。50〜60年代前半頃はこのようにA面B面別歌手の抱き合わせがごく普通にあったらしい。ってことはフランクはこの曲を単にアルバム中でカバーしたとかってことでなくちゃんと自分のシングル曲として出してたってことでもある。尤も当然ながら当時は「カバー」とか「バージョン」とかいう言い方自体なくて、「競作」とか「あの歌手も唄ってる」とかいう概念でやってたわけだが。
ってことで論より証拠即UPしたこれがそれ↓。


でオリジナルの克美しげるのも実は奇特な人が既にUPしてて何度も聴いてる↓。


しかもなんと八代亜紀バージョンもUPされてた!↓いやこの人もアルバム中で唄ってるとは知ってたがCD化されてないので。


聴き比べるとイントロ等のアレンジがそれぞれ(おそらくわざと)かなり変えてあるので一概にいえないし、ほんとにそれぞれのよさが出てて好悪は決めがたいが(決める必要もないが)、敢えていえば個人的にはやはり長年記憶にあった克美しげるの若く力強い歌唱が今はまだ一番フィットするかもしれない。





ところでこの曲の作詞作曲者鈴木道明という人については一般的にはあまり知られていないと思うが、このブログでは何度か名前を出してきた。それは佐伯孝夫・吉田正コンビをも上回るムード歌謡史の最重要人物こそこの人だからなんだが、実はしばらく前になんとこの鈴木氏の自作歌唱アルバム(勿論アナログ盤)を入手した↓。

「赤坂の夜は更けて」「銀座ブルース」「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」「女の意地」「夏の日の想い出」「北国は寒いだろう」等ムード歌謡草創史そのままといってもいい名曲の数々を全て自分で唄ってて(詞も全て自作)当然「はてしなき恋」も入ってるが、例の蓄音機で聴いてみると、歌唱自体は正直なところ失礼ながらやはりプロ歌手の人たちには敵わないと素人耳にも判る。だがそれより肝心なのは編曲が全曲前田憲男だという点で、解説の楠本憲吉(!)は「鈴木氏の音楽に前田氏の存在は逸せない」と書いてるが、実は上の↑フランク永井バージョンも前田編曲なのだ(但し鈴木アルバムとは微妙に違う)。ということはオリジナルの克美バージョンもそうなんじゃないか? もしそうなら前田氏は編曲を3者3様に変えてるってことになり、それもなかなか念の入った話だが…
ともあれ鈴木道明というこの稀代の異才に関しては引き続き要留意事項とする。因みに上の↑八代亜紀のアルバムもこの人の「作品集」と銘打ってて、同様に「赤坂…」はじめ鈴木ムード歌謡のことごとくを唄ってる。





























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