「エイトマン」
『蘇る封印歌謡』(石橋春海著・三才ブックス)を入手したので、とりあえず付録の克美しげるCDを早速聴いてみた。「さすらい」「おもいやり」「エイトマン」の3曲がこのCDのための新録音で(事情で旧音声が使えないため)収録されている。もちろん現在の克美しげる本人が唄っている。当然ながら年齢が年齢だし(70歳)、その上過去に大病を患った身であるため発声も万全というわけではないらしいが、しかしこのCDでの唄いっぷりを聴くかぎり、そんなことをほとんど感じさせない出来上がりで(素人が聴いたかぎりでのことだが)驚いた。とにかく声が年寄りっぽくないし、何よりも記憶の中の「さすらい」「エイトマン」を全然裏切らないのが感激だ。尾崎紀世彦「また逢う日まで」や松崎しげる「愛のメモリー」等が懐メロ番組で唄われるたびに往時と違う唄い方してて(フェイクとかいうやつらしいが)鼻白むが、克美は彼らより遥かに先輩なのにその手の妙な「それなりに枯れました」感がなくて、ほんとに若々しく唄ってるところが嬉しい。本書中の当該章を見ると、「さすらい」はもちろん最大のヒット曲だが、意外にも「エイトマン」よりあとに出した曲だったとのことだ。とにかく筆者(このブログの)は小学生の頃全校で誰よりも早くエイトマン・シールを手に入れた(丸美屋「のりたま」に付いてるとかいうのだったと思う)のが自慢だったほどで、アニメ『エイトマン』もその主題歌も大好きだったのだが、大人の歌である「さすらい」はそれ以上にポピュラーだったせいか、より以前からテレビで耳にしてたように思い込んでた。あと「エイトマン」が前田武彦作詞・萩原哲晶作曲だというのも初めて知った。また現在の克美の顔写真が大きく載せられているが、それこそ「枯れた」様子のない何か生々しさを感じさせる顔をしているのが印象深い。4度目の若い妻がいるというが、その辺もこの顔の「生気」に関係してるのかもしれない。
なお本書には他に著者の記者時代の実体験に基づく岡田有希子についての章をはじめとして奥深い歌謡裏面史が綴られているようなので、じっくり読んでみたい。
『週刊朝日』も覗いたが、小さい記事ながら本書と克美について要点を巧く紹介していた。