『マーダーゲーム』千澤のり子
千澤のり子さんから『マーダーゲーム』(講談社ノベルス・7/6刊行)を頂戴しました。
宗形キメラ名義(二階堂黎人氏との合作ペンネーム)での『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』が好みだったので、このソロデビュー作にも期待。ってことで早速拝読。
…うーんこれはキたな。やられたわー、面白い!
〈汝は人狼なりや〉というゲームがアイデアのベースにあると作者がコメントしてたので、ゲーム百般が苦手なやつとしては(それで本格ミステリ好きってのも矛盾してる?)ちょっと不安もあったものの、読み始めたらその点は全く気にならずに入り込めた。それと驚くのはこの小説、帯にあるように何と「小学校ミステリ」。8人の小学6年生が互いの嫌いなものを「犯人」に消してもらう〈マーダーゲーム〉という遊びを始めるが、「犯人」が自分たちの中の誰なのか誰も知らず、次第に不気味なことが起こってきてついには死者も…という話。当然主要人物の大半が小学生だが、それがまた意外と違和感なく感情移入できるよう巧く書かれてる。変に子供っぽ過ぎもせずかといって変に大人っほ過ぎもせずという匙加減が。というか本格ミステリはそもそも「稚気」を楽しむものなので、本物の稚気の持ち主である子供の世界は本来この上ない舞台になる(勿論巧くやりさえればの条件付きで)ってことかも? また作者は「ミステリともホラーともサスペンスとも名づけにくい奇妙な味の作品かもしれません」と述べていて、その点も読んでみて納得。あとこの作者が先般物故した作家中町信のファン(らしい)というのも、本作の魅力のヒントになるかも? …ってことでこれは期待以上っしたー、千澤さんありがとうございました!