淡島千景/北公次
淡島千景を60年代から顔も名前も知ってたということは、当時のドラマで見てたってことだと思う、子供の頃映画なんて全く見たことがなかったから。ところが検索してみると当時淡島千景が出てたドラマというと大河第一作目と二作目の『花の生涯』『赤穂浪士』ぐらいしかない。『花の…』のほうはほんのたまにしか見てなかったから判らないが、『赤穂…』はときどき(ずっととは言えないのが非常に残念だが)見てたので朧に記憶がある。とくに絡みが多かったと思われる林与一演じる堀田隼人の印象が強烈だったせいかもしれないが(ニヒルな浪人というものに魅力を覚えた最初だった)、ちょっと退廃的なところのある町女(なんて言葉はないか)という感じだったように思う。だが淡島千景をよくテレビで見てたという記憶はそれだけでは補えない。なのに他のドラマというと『ママとおふくろ』(日テレ)というのがあるそうだが、それは全く記憶にない。では他の何で淡島千景を見ていたんだろうか? 当時バラエティ系番組にそんなに頻繁に出てたとは思えないし、そもそもバラエティ番組なんてもの自体多くなかった(むしろ歌番組やドラマのほうが多かったんじゃないか)。これはどういうことだろう、子供の頃から淡島千景をテレビでよく見て知ってたというのは後付けの記憶に過ぎないんだろうか。まあそうなのかもしれないが… それはさておき、ある人のブログで当時日曜夜のNHKは8時から『若い季節』が始まり、大河第一作『花の…』はそのあとの8時45分からだったと書いてあって驚いた。というのは『若い季節』の終了後にその〈あと番組〉として大河が始まったんだとずっと思ってたから。それもまたとんだ勘違いだったことになる。で、その人(同年代とおぼしい)は『若い…』に主演してた淡路恵子のほうがそのあとに始まる『花の…』に出てた淡島千景よりも〈先に〉知った〈初めての女優〉だったことになるとブログに書いていて、なるほどなと頷けた。だが個人的には淡路恵子の記憶が『若い…』だけに集約されてるのに対し淡島千景はいろんな番組で見たような気がするのがどうにも不思議だ。因みに淡路恵子は淡島千景に憧れて芸名をつけ、映画での共演も多いという。
北公次と言えば『悪魔の手毬唄』だ。因習的閉鎖的な村で悲劇的な恋愛に圧し潰される若者の苦悩に悶絶するさまが印象的だった。その後の北公次自身の波乱の人生を思うと、あの役柄と演技のイメージが一段と増幅される。フォーリーブスで最年長だったというのも意外だ、むしろおりも政夫の次に若いんだろうなと何となく思ってた。
『悪魔の…』より