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「下妻物語」について

下妻物語 スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD] 下妻物語 スタンダード・エディション [DVD] 深田恭子 in 下妻物語 [DVD]
下妻物語」を見た。凄いよこれは。これほど凄いとは思わなかった。
監督は中島哲也という、CMディレクター出身の人。あのサッポロ黒ラベル
豊川vs山崎の一連のやつはインパクト強かったが、あの独特の遠近感を含めた
映像美感覚みたいなものが、この映画でも活きてる。というより、徹底的に活かされてる。
アニメやCGやデフォルメをわざとそれとわかるように織り交ぜるとあざとくなるのが
普通だが、この人のはちがう。むしろそうなっているほうが自然みたいに感じさせるんだな。
極端にいえば、すべてのカットに一分の隙もない。こんなのは見たことない。
テーマとかストーリーとかキャスティングとかどうのこうのいう前に、全篇たたみかける
この映像の凄さだけで圧倒される。
ただ、映像ってことで余計なことをひとついいたいのは、この手法をそのままテレビドラマに
持ってきて活きるか、という問題だ。この監督はCMで成功したあと、テレビでは例の
濱マイク」を一篇だけ撮ってるらしい。あのドラマはいろんな映像作家が毎回テレビでの
実験映像みたいなことをやって、それが一部の普段あまりテレビドラマってものを普通に
見ない層に受けたりしたようだが、実はあれは最初ちょっと見ただけで、それこそ
そのあざとさに「あ、こりゃダメだ」と匙を投げたクチだ。一部で受けたのは要するに
「映像が斬新だ」とかいうことなんだろうけど、普通のテレビドラマを普通に見たいだけの
筆者のような普通の視聴者にとっては、妙に気どった歯の浮くしろものでしかなかった。
「テレビドラマは映画に比べて映像が陳腐だからだめだ」とかいうバカがいたが、
そういうやつらのバカさを逆手にとったのが鬼才にして巨匠の堤幸彦だった。ヒットドラマ
「トリック」の映画版をドラマとまったく同じ手法・演出・映像で撮ってヒットさせ
成功させた。あれを見た映画バカたちが「さすが映画版は力が入ってる」とか間抜けなことを
いったかどうかはわからないが、要するに中島哲也という人も、この「下妻」の手法を
そのままテレビドラマに持ってきて成功させたなら、そのときは堤の後継者になれるだろう、
ってことだ。そのへんがはたしてどうか、「濱マイク」のこの人の回も見てみたいものだ。
深きょんにも土屋アンナにも詳しく触れなかったが、二人の熱演がまた凄いってのは
いうまでもない。だけでなく阿部サダヲ樹木希林篠原涼子ら共演陣もめちゃくちゃいい。