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「SAW」について

SAW ソウ DTSエディション [DVD]
噂の「SAW」を見た。ひと言でいうと──甘いな。「感染」見て間もないこともあるが。
まず、これは明らかに「レザボア・ドッグス」をなぞってる。閉鎖空間。滑稽さを含めた暴力。
なかなか死なない瀕死者。皮肉なツイスト。回想の織り交ぜ。だが「レザボア」が実は暴力の
映像じゃなかったのと同様に、これもあまりリアルな暴力は感じられない。まずそこが甘い。
というか、リアルでないことが悪いわけじゃない。リアルでないのかそうでないのか、
どちらかならどちらかにもっと突き詰めたらいいのに、と思うだけだ。
閉鎖空間での暴力への恐怖というんだったら、「CUBE」のほうが上をいってる。
ツイスト重視というんだったら、「レザボア」が優ってる。そしてそのどちらでも
はるかにうわまわってるのが「感染」だ。思えば「感染」も上のふたつの洋画の
共通項をそのまま孕んでた。
閉鎖空間、滑稽な暴力、瀕死者、ツイスト、回想。だが映像を創る者演じる者の鬼気は
こちらが数層倍深い。やっぱ日本人なのかね。
といって「SAW」がダメだから嫌いとかいうわけじゃない。どうせやるならもっと徹底したら
どうかということだ。たとえば「殺し屋1」みたいに。つまりもっとどうしようもない映像を、
怖々期待してたということだ。だがちょっと安心して見られすぎた。