わが偏愛的女優痴話2 鈴木京香
『男たちの大和』を見た記念に鈴木京香。
仙台出身。東北学院大卒。杜の都に並ぶ者なき美女として鳴らしたのち、芸能界進出。
キャンギャルを経てNHK朝ドラ『君の名は』ヒロイン抜擢でスターダムへ。
以後多数のドラマ・映画に出演し、『血と骨』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞。
上に絵を挙げた出演作群は筆者が見ているもの(途中までのも含む)。その中には含まれて
おらず世間からもすでに忘れられているが、初めて彼女に出会ったのは『パ★テ★オ』
だった。ヒロインだった菊池桃子目当てで見たのだが、鈴木京香はそこでは脇役で、
しかもどちらかというと敵役に近く、妹役の松雪泰子同様まだブレークというところまでは
いたっていない時期だった。大きくてはっきりした目にどこか冷たい感じがあり、謎めいた
役柄に似合ってた。実年齢は菊池桃子より年下なのに、漠然と年長っぽい設定で、
菊池のことを「あの子」と呼んでたのが印象にある。つまり、べつに老けてるとかいう
わけじゃないのに、若いころ(二十代半ばだったと思う)から年齢より落ちついた感じ
があったということ。
筆者の中で彼女の最高傑作は『オンリー・ユー〜愛されて〜』。たしか民放連ドラ初主演
作で、世間的にも安定した支持があった。役どころはプロのモデルで、レストラン・
オーナー(伊原剛志)の恋人なのだが、その店で働く知的障害者の若者(大沢たかお)への同情
(というより共感かな)がやがて愛に変わっていくという話。といってもそういう設定に
おいて想像されやすい泣かせ方向の話じゃなく、非常に淡々としていながら勘所が妙に
ドラマチックで、飽かず見せられた。鈴木京香はすでに完成された大人の女という設定で、
それでいて全然嫌みじゃない落ちつきっぷりが、まさにはまり役だった。主題歌は
オリジナル・ラヴ最大のヒット曲となった(たしかドラマと同題)。
ドラマではほかに『熱烈的中華飯店』という実験的すぎて失敗したもの(筆者はけっこう
好きだったが)などもあり、また意外なところでは、深津絵里主演で好評だった
『きらきらひかる』はなぜかいまだDVD化されていないらしい。鈴木京香は腕利き
女性監察医で、こちらはその鼻高ぶりがちょっと嫌みだった。似た例では『ブラックジャックに
よろしく』でのナース役もそう。これは脚本演出もどうもいただけず、珍しく途中で見るのを
やめた。
さて『大和』は運よくメンズ・デーとかで千円で見れた。ただしパンフレットが置いてなくて
棒引き感あり。映画はとても面白かった。というとやや語弊があるかもしれない。とにかく
惹きつけられた。角川春樹の底力を見た。冒頭とラストに挿入されている残骸の海底映像は
角川氏自身が撮ったらしい(と週刊誌で言ってた)。鈴木京香もよかった。が、いちばん株を
あげたのはたぶん蒼井優だろう。役柄かわいそうすぎ。