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「さすらい」

蘇る封印歌謡(CD付) 封印歌謡大全
12/27(木)PM7〜9TBSラジオ『TABOO SONGS2 蘇る封印歌謡』。http://www.tbs.co.jp/radio/utamaru/taboo/
何らかの理由で規制されたり自粛したりした歌の特集第2弾とのことだが(第1弾は7月にやったらしい)、封印曲なるものにとくに関心があったわけではなく、とにかく克美しげるの「さすらい」をやるというのに惹かれて聴いてみた。MCは『BUBUKA』で熱いアイドル歌謡評を連載してる異色ラッパー宇多丸(一度テレホンショッキングに出たの見た)。以下は番組中で実際に流した曲目の無断コピペ。
1.  イムジン河 フォーククルセダーズ (1968) ※「イムジン河/悲しくてやりきれない」カップリングCDより
2.  自衛隊に入ろう 高田渡 (1968) ※「高田渡/五つの赤い風船」より
3.  黒いカバン 泉谷しげる (1971) ※「泉谷しげる EARLY TIME」より
4.  れ・い・ぷ フィーリング 小林万里子 (1979) ※「ファースト・アルバム」より
5.  おど 三上寛 (1971) ※「ベスト・アルバム」より
6.  からっぽの世界 ジャックス (1968) ※「ベスト・フォーク100曲〜青春のFolk&Pops〜」より
7.  金太の大冒険 つボイノリオ (1975) ※「あっ超ー」に収録
8.  本願寺ぶるーす つボイノリオ (1970) ※「あっ超ー」に収録
9.  飛んでスクランブール つボイノリオ (1996) ※「あっ超ー」に収録
10.  山谷ブルース 岡林信康 (1969) ※「わたしを断罪せよ」より
11.  おそうじオバチャン 憂歌団 (1975) ※「憂歌団」より
12.  お政治オバチャン 憂歌団 (1976) ※「セカンド・ハンド」より
13.  つくばねの唄 あのねのね (1975) ※「青春旅情」より
14.  悲惨な戦い なぎら健壱 (1973) ※「葛飾にバッタを見た」より
15.  さすらい 克美しげる (2007年ver.)※『蘇る封印歌謡』(石橋春海著)付録

金太の大冒険」の本物は昔酒場の有線で聴いて以来だ。宴会芸としてこれを完璧に自分のものにしてたやつがいたっけ。「からっぽの世界」は名のみ知ってたものの聴いたの初めてかもしれない。有名な割に全く売れなかったとか。「山谷ブルース」は高校の頃土方バイトしてたやつが弾き語りするの目の前で聴いて迫力に圧倒されたことがあったが、今回オリジナルをちゃんと聴くと、どうも何かが引っかかるのを感じた。それは「おそうじオバチャン」で一層感じたことで、宇多丸も幾分疑問視してた点だが、要するに歌の創り手・唄い手の側に、本当に職業蔑視・階層蔑視の視点が「ある」と感じざるをえない面があることだ。岡林は山谷の日雇い人夫「応援歌」のつもりなんだろうし、憂歌団は大阪のたくましいオバチャン「讃歌」ってことなんだろうが、どちらもそれらの「対象」に心底から同期しきれていない節が窺えるんだな。というか、しきれていないならいないでもしょうがないかもしれないが──というより、もっとはっきりいえば、蔑視するならするであからさまにやってるなら逆に許せるところを、変に「讃歌」めかしたオブラートで包んで「バカにしてるんじゃなくて、あんたらの味方なんだぜ」と共感を押しつけてるようなところがあって、しかもそれに文句いわれたら怒って開き直る(「お政治オバチャン」がその表明らしい)あたりが、さらに妙な卑怯さ姑息さ(=誤用)を感じさせるってことだと思う。とにかく、今回聴いた岡林の唄い方より、あの土方バイトしてたやつのほうが間違いなくよかったし、日本の本格的ブルースの草分けらしい憂歌団も俺なんかにはあまりピンとこなくて、森進一や青江美奈の唄う盛り場演歌のほうにこそ遥かに強く本物のブルースを感じてしまう。

だがそんなことよりも「さすらい」だ。最後の最後まで待たせられながら1番だけってのがどうにも物足りなかったが、とにかく数十年ぶりで本物の克美しげるの声でこの歌を聴けるなんて夢にも思わなかった。実は子供の頃かなり好きだった、克美しげるが。「史上最大の作戦のマーチ」「エイトマン」。だが一番好きだったのは、なぜかタイトルを思い出せないある歌だ。これは学校や遊びの帰り道なんかでほんっとによく愛唱してた。といっても当時からうろ憶えのまま(というより勝手に創作してたかもしれない)だったが。以下に記憶のまま記してみる。いずれ確かなところを(もちろんタイトルも)調べてみたい。


 忘れられない あの娘(こ)のことが どうしてなのか 心迷わせる
 虚しい恋 なんて諦めよう 茜雲の 夜の街角に
 独りぼっちは 淋しいけれど そっとあの娘の 名前呼んでみる

 忘れられない あの娘のことが どうしてなのか 今も思い出す
 儚い恋 なんて諦めよう 霧に濡れた 夜の街角に
 独りぼっちは 切ないけれど そっとあの娘の 名前呼んでみる  
                                (※きっと全然違ってる)