.

『四つの嘘』『モンスターペアレント』『Tomorrow』 2


期待していた連ドラ3本がようやく出揃った。といっても勿論女優への期待であって、ドラマ自体は二の次三の次──といいきりたいところだが、肝心のその女優が活かされていないとなるとドラマの良し悪しもやむなく問題になってくる。で今回はそういう意味で一応合格2本不合格1本だ。
不合格は『Tomorrow』。折角菅野美穂竹野内豊という一番いいところをキャスティングしていながら、これは失敗したな。あまりに悪いパターンに嵌まってしまってる──というか、パターンに嵌まること自体はドラマの宿命もしくは定型であって、それをどう魅力に変えるかが創り手の腕の見せ所なわけだけど、そのためにはまずパターンに自覚的でなきゃ始まらないわけで、これはそこが完全にハズれてると見た(『CHANGE』や前期の『ホカベン』にいえることと同種だ)。だが実のところそんなこと以上に、何よりも脚本演出ともにどうにも野暮ったすぎるのが致命的だ。菅野も竹野内もやりずらそうなのが目に見えてた。
合格は『モンスター』と『四つの嘘』。前者はこれもパターン物だが、それを明らかに自覚していて、そこに意識的に嵌まりながら内側からどうズラしていくかを注意深く工夫してるのが見てとれた。つまり、教育物と見せかけてわざと子供を描かない、毎回の悪役にわざとリアルさを感じにくい豪華ゲストを宛てる、その悪役以上に主人公(米倉涼子)のほうがより鼻持ちならない、1話完結ながら毎回問題を完全には解決させない、等々。
後者つまり『四つの嘘』は、唯一パターンを完全に排することを狙ってる。この人間関係と設定の微妙さ変さは前例がないだろう。その代わりそこに配される〈人物〉はそれぞれパターンに深く嵌まってる。つまり話の読みにくさと人の読み易さがこの先どう連動していくのかが見所だな──なんていいながら実はやはりそんなことはほんとはどうでもよくて、とにかく久々に悪い女をやってる永作博美にゾクゾクするというだけなんだが。