.

『昭和と戦争』2

『昭和と戦争』(http://d.hatena.ne.jp/natsukikenji/20090808)をようやく全巻視聴。
http://www.u-canshop.jp/syouwa/


↑写真上段は第2巻「赤紙が届く日──挙国一致・進め行軍」の表と裏。下段は6・7・8巻の裏面で、右上からポツダム会談・広島原爆・玉音放送(以上6)・マッカーサー進駐軍闇市・兵士引揚げ(以上7)・湯川秀樹朝鮮戦争軍需景気・講和会議(以上8)。3〜5巻あたりの軍事色一辺倒の時代のを見ると、戦争というものが庶民の日常の細部にまで深々と根を張った時期が何年も続く様をまざまざと見せつけられて暗然としてくる。あの頃自分がもし生きていたらどんなだったかと考えてもちょっと想像できない。昨今は「あんな時代にも独り戦争に反対した勇気ある人物がいた」とかいった話が美談のごとく作られることがよくあるが、こういう映像を見るとその手のヒーロー物語が都合のいいまやかしに思えてくる。笑顔で日の丸を振ってわが子を戦地に送り出した無数の名もない父母たちを誰が愚かと蔑めるのか、過酷な戦況に正気を失い蛮行に及んだ兵士たちを単純に悪となじれるのか。それが遠い戦国時代のことじゃなくたかだか数十年前──いい換えれば「つい昨日」のことなんだと思い出さなきゃならない。最後の8巻で戦後の目覚しい復興までが語られるのはある意味救いだが、しかしその復興にすら朝鮮戦争時の軍需景気が大きな役割を果たしていたと知らされればまたも何やら暗い気分になる。月並みな感想に見えるだろうが──というか結局こんなことしかいえないが──そうした夥しい犠牲の上で俺たちは今の平和を享受しているということだ。