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玉置宏

玉置宏死去。http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20100212073.html

玉置宏といえば子供の頃「歌謡曲」の楽しさを教えてくれた最高の番組『ロッテ・歌のアルバム』の名司会者にして代名詞的存在。歌謡曲の「起源」とさえいえる「御三家」を知ったのも『歌のアルバム』で、GS全盛期にさえGSを出演させない頑なな「お茶の間」主義の番組作りは歌謡曲好きの子供の精神形成に多大な影響を及ぼした。そんな高潔な番組姿勢を支えていたのが歌手とその持ち歌への愛情をこそ最大の武器とした玉置の司会だった。だがそんな玉置でさえ、ロックだのフォークだのといった変なものが蔓延りだす嫌な感じの時代へと移り変わったときには、矢鱈早口なラジオの「パーソナリティ」がもてはやされるような時流に抗しきれずに、出演歌手にタメ口で話しかけるというやり方にシフトし(それまでは徹底した敬語主義だった)、子供心にも違和感を覚えざるをえないなんてこともあった。それでも「歌手と歌への愛」という点では他の追随を許さない司会者であり続けた。宮田輝だろうが高橋圭三だろうが玉置に比べたら歌の司会としては失格に等しい(まして堺正章など論外も甚だしい)。せいぜい『Mステ』のタモリが形こそ違え玉置の持っていた「歌への愛」という一点を継承している現今唯一の司会者といえるだろうか。


ところで『歌のアルバム』といえば単独スポンサーだったロッテを抜きには語れないが(玉置も司会の合間に口頭での宣伝で貢献してた)、最初の頃ガムだけのメーカーだったのが途中からチョコレートを作り始め大々的なTVキャンペーンを展開した。そのCMで忘れられないのが「♪小さな瞳〜…」というあのコマソンだ。そこはかとない哀愁のある曲と詞は名匠浜口庫之助作で、アップテンポ調からスローバラードまでいろんなバリエーションがあった。例えばこれ↓はアップ調の1つ。

↑メインの女の子は勿論九重佑三子だが、赤ジャージの教師役が誰だか判るだろうか?
でこの曲には元歌があり、それがなんとGSパープル・シャドウズの唄う「瞳の世界」↓。

「小さなスナック」で当てたパープル・シャドウズはカレッジポップス調の健全っぽさが売りのグループだったとはいえ、GSを排した『歌のアルバム』のロッテがGSのCMソングで売り出していたとは皮肉の感がある。これも勿論作詞作曲浜口庫之助だが、CMバージョンも名曲として愛され「小さな瞳」のタイトルでしばたはつみがカバーしたりしているらしい(未聴)。因みにこれは近年のキリンジによるカバー↓。


玉置宏さんのご冥福を祈ります。