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フランク永井『フランク、ジャズを歌う』

衝動買いシリーズ。2枚組CDフランク永井『フランク、ジャズを歌う』(2009ビクター)。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A000152/VICL-63274.html

[disc1] 1. 恋人よ我に帰れ 2. グッド・ナイト・スイートハート 3. ばらの刺青 4. 16トン 5. 悲恋のワルツ 6. 戦場の恋 7. 夜のストレンジャー 8. ゴッド・ファーザー 9. セプテンバー・ソング 10. 二人でお茶を 11. ユー・ビロング・トゥ・ミー 12. ドリーム 13. テネシー・ワルツ 14. ハーバー・ライツ 15. ビコーズ・オブ・ユー 16. フォー・センチメンタル・リーズンズ 17. ムーン・リバー 18. 酒とバラの日々 19. いそしぎ 20. ある愛の詩 21. テイクマイハート[LIVE] 22. イッツ・ビーン・ア・ロング・ロング・タイム[LIVE] 23. センチメンタル・ジャーニー[LIVE] 24. ファイブ・ミニッツ・モア[LIVE] 25. ポピュラー・メドレー[LIVE]:プリテンド〜トゥー・ヤング~エニー・タイム〜愛の讃歌〜慕情
[disc2] 1. 君恋し(トランペット:ニニ・ロッソ) 2. オール・オブ・ミー 3. ラブ・レター 4. ファイブ・ミニッツ・モア 5. 時のたつまま 6. 夕日に赤い帆 7. 明るい表通りで 8. ワンス・イン・ナ・ホワイル 9. アイ・ドント・ノウ・ホワイ 10. 国境の南 11. 恋の気分で 12. わが心はむせび泣く 13. 嘆きのワルツ 14. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 15. チェンジング・パートナー 16. アイ・ワンダー・フーズ・キッシング・ハー・ナウ 17. ラモーナ 18. アンサー・ミー・マイ・ラブ 19. ムーラン・ルージュの歌 20. 恋人と呼ばせて 21. テンダリー 22. ヴァイヤ・コン・ディオス 23. 嘘は罪 24. 枯葉 25. 夜と昼の間(いつの日か君に)
もとから欲しかったというわけじゃなくこんなアルバム自体知らなかったが、ムード歌謡創始者の1人としてのフランク永井のファンなのでそっちのほうの手持ち曲をYoutubeにUPしていたら、フランクさんはジャズを出していないだろうかとコメントをくれた人がいたので、そういえばこの人元はジャズ歌手だったらしいなと思い出し、検索したら近年発売されたこのアルバムの存在がすぐに知れた。発作的に買ってみたら、これが上記のようになかなかのボリュームだった。スタンダードといってもまるで詳しくないので知らない曲が多いが、それでも目当ての好きな曲がいくつかあるし誰でも知ってるポピュラー・ナンバーも混じってる。
解説によればフランク永井進駐軍のキャンプ廻りの歌手出身で(軍のトレーラー運転手をしたこともあるという)、デビュー曲もこのアルバムに収録されてる「恋人よ我に帰れ」だった。だがその後所属するビクターの大御所吉田正の勧めにより歌謡曲に転向し大ヒットを連発していった。必然的に昭和30年代には洋楽のレコーディングがほとんどなくなり、解説者は「残念なこと」と書いているが、でもおいらのような洋楽知らずの歌謡曲ファンからするとその転向があったればこそこの人の歌を聴くようになったわけで、もし洋楽歌手のままだったらこうしてジャズ・アルバムも聴いてみようなんていう興味が沸くことすらなかっただろう。そう、あくまで〈歌謡曲歌手〉としてのフランク永井だからこその洋楽なのだ、個人的には。
昭和20年代末頃は空前のジャズ・ブームだったと解説にはあり、、この人もその熱気の中から出てきた歌手という感があるようだが、どうもその後の時代はジャズのみならず洋楽というものが分野別に先鋭化していき、それぞれの道の熱烈なファンでなければ近寄りがたいみたいな雰囲気ができていったような気がする。中でもとくにジャズはその筋の〈蘊蓄〉や〈サウンド〉の良し悪しなんてものが解らないやつは聴いちゃだめみたいな(という言い方は極端だが)敷居の高いものになっていったんじゃないか。でもフランク永井進駐軍放送を聴いてジャズに憧れ宮城から上京した時代には、皮肉なことに〈海の向こうの楽しい音楽〉が今よりも遥かに大衆的・解放的なものとして老若男女誰でも遠慮なく愛好できていたんじゃなかろうか。実際このアルバムの歌声を聴くとそんな時代の息吹が何とはなく感じとれるように思う。
というわけで好きな曲をUPしたので貼ってみる↓。「いそしぎ」と「All of Me」。                          

フランク、ジャズを歌う