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『NIGHT LAND』4号

『NIGHT LAND』4号が届き、通読す。

特集は〈オカルト探偵=闇を狩る者たち〉で4篇の未訳実作品を掲載。ジョー・R・ランズデール「凶兆の空」(友成純一訳)は〈二挺拳銃の牧師メルセル〉登場の本格怪物ホラー。「ミッドナイト・ホラーショウ」や「キャデラック砂漠の奥地にて、死者たちと戯るの記」等に見られる〈ハード・ホラー作家としてのランズさん〉と再会できる快作で、友成氏のノッてる訳も相性ピッタリ。ロン・シフレット「ミイラ捜索」(金子浩訳)は2号「ピックマンの遺作」に続く〈アーカムの私立探偵カーニー〉物で、今回も名調子なハードボイルド・ホラー。ロバート・E・ハワード墓所の怪事件」(中村融訳)はお馴染みハワード発掘シリーズの1篇で、特集に合った怪奇探偵趣味横溢作。ウィリアム・ミークル「慈悲の尼僧」(拙訳)はホジスン〈幽霊狩人カーナッキ〉再登場作。U草本誌編集長の紹介で知ったこのミークルという作家の本篇収録作品集を自分でも取り寄せてみたが、パロディやオマージュの域を超えた本格後継者ぶりに驚かされた。エッセイでは北原尚彦「怪奇探偵シャーロック・ホームズコナン・ドイルの怪奇趣味」がホームズ&ドイルの怪奇志向の側面を余すところなく紹介(個人的には中坊の頃あかね書房版『バスカービルの魔の犬』読んだときの鮮烈な記憶が蘇った)。連載物でも立原透耶「Asian Horror Now」が「中華圏の秘密組織と妖怪ハンターたち」と銘打ってかの国での怪奇探偵物人気を紹介。あちらでも『X-ファイル』や日本の陰陽師物の影響が実は結構強いようだ。「リレーエッセイ・私の偏愛する三つの怪奇幻想小説」は芦辺拓氏の登板で、「探偵たちは怪奇な夢を見る」と題して怪奇探偵漫画を紹介、そちらにも造詣が深いことに目を瞠らされる。また朝松健『The Faceless City』(4回)も当然ながら怪奇探偵趣味に満ち満ちている。今回は「鰓のある街」、神野十三郎「時空の歪みにより近まった」インスマウスへとバイクを駆る。…
他には書き下ろし短篇・間瀬純子「オーロラの海の満ち干」がまさに目眩く想像力を発散させた幻視幻想小説でびっくり。高野文緒のエッセイ「パリの深い闇とブルターニュの遠い微光─『オペラ座の怪人』に宿る不等のコントラスト」はかの怪人にも勝るオペラ座ことガルニエ宮自体の怪しさを解説。ラリー・ニーヴンのパロディ・ショートショート「最後の『ネクロノミコン』」(森瀬繚訳)は異色の学生紛争クトゥルー?で訳者解説がいつもながらマニアック。朱鷺田祐介「黄金の蜂蜜酒を飲みながら─クトゥルフ神話とゲームの周辺」は今回はゲームよりイベントや出版物の紹介が多く参考になる。そうだ噂の菊地秀行『邪神金融道』まだ買ってなかった。鷲巣義明「ファンタスティック・シネマ通信」は注目作『トールマン』のパスカル・ロジェ監督にインタビュー。笹川吉晴「Night Library」は尾之上浩司『クトゥルフ神話への招待』ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』ブラッティ『ディミター』他をレビュー。マット・カーペンター「クトゥルー・インフォメーション」は「おとぎの国のクトゥルー」として子供向け神話物を紹介。
なお巻末「Topic」によると本誌表紙絵のダニエーレ・セッラ画伯が英国幻想文学大賞アーティスト部門を受賞したそうで(おめでとうございます)、その記念か今回は表紙原画のオリジナル絵葉書セットを同送していただいた、ありがとうございます。これがまた素晴らしいので一緒に撮ってみた↑(上写真)、表紙の文字が小さくて見づらくなってしまったが。またセッラ氏のみならず末弥純高橋葉介・ひらいたかこ・建石修志他今号も挿画陣の豪華さが凄い。








ところで笹川吉晴氏が書評冒頭で「世にクトゥルーの種は尽きまじ」と書いているように近年のクトゥルー熱がいまだ各分野で冷めやらないのはまこと慶賀。が個人的には… ここまで来るとやっぱおいらみたいな誤訳超訳だらけのクトゥルー・シロート(略してクトシロ)はそろそろいいかなって気分がいよいよ強くなってきた。あとはおエラい碩学の大先生方におまかせして、ワキから楽しませてもらう側に回ってたほうが世のため人のためってものでせう。イヤまじで。そうそれが分相応ってもの。イヤ窓で窓で。…





























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