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菊地秀行『邪神金融道』

菊地秀行『邪神金融道』読んだ。

いやー凄いね。「解説」で植草昌実さんが「驚いてください。当惑してください」と書いてるが、まさに驚く。当惑する。何しろ邪神だろうとかまわず取立てに行くっていう〈サラ金クトゥルー〉だからね。そうこれは〈異形コレクション〉12『GOD』収録「サラ金から参りました」の続篇。いやーこのブッ飛びぶりはニャル子さんタイタス・クロウも降参する。「私にしか書けっこない」とあるとおりこれは菊地秀行〈印〉そのもの。朝松健『弧の増殖』もあの作家に「しか書けない」ものだったが、ここに来てこの畑でこの両雄の収穫が相次いだのは凄い。どうも最近この畑が解説本ばかり沢山出て頭でっかちになりすぎてるような気がしてたが──しかもこんな狭い畑で何かというと足の引っ張り合いみたいなことばかり目についたり(おいらも何度か引っ張られた)──そんな杞憂をブッ飛ばすこういう腕力に溢れた実作品の連発は痛快極まりない。作者「あとがき」がまた人を食ってる。「今どきクトゥルー神話を知らない非常識はいないと思うが」だって。非常識かよ! とさま〜ず三村も最近やらない突っ込みを思わずしそうになったよ。植草さんも負けじと悪乗りしてて笑える。「信徒たちが太平洋上に集うとの情報さえある」って… あるのかよ!
因みに版元創土社たしか菊地さんのデビュー前エピソードのところじゃね? そこからこの畑の自作を刊行したというのは一層感慨深いんじゃないか。
















ところで先頃越後人が色々ドンくさいところをお目にかけたお詫び… というわけけでもないが、東雅夫編『世界幻想文学大全』全3巻がドッと出てたのでゲットしてきた。

こういう大冊をドッと出しつつも怪談集めに全国回るんだからこの人にも頭が下がる。おいらもディック(笑)やラムレイ(笑)ごときで手間取ってる場合じゃないよな見習うべし。





























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