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「感染」について

レンタルDVDで「感染」を見た。劇場公開前のテレビCMのときからとても気になっていた
映画で、期待は高かった。そしてその期待は──
超えられた! それも、大きく。
これは目を釘付けにされた。終始。落合正幸、すごい! 「パラサイト・イヴ」ではもうひとつ
の感だったのが、「催眠」でびっくり仰天し、そしてこの「感染」では、もうよくぞやって
くれたというしかない。もちろんキャスティングの妙もある。「催眠」はなんといっても
菅野美穂稲垣吾郎の二大エキセントリック怪優の共演(競演・饗宴)が利いていたのだし、
「感染」ではなんといっても佐野史郎の嬉々としたはまり具合の効果が絶大だが、
しかしむろんそればかりではない。というより、キャスティングも含めた監督落合の
(脚本も兼ねている)趣味の横溢が、前作でも今作でも本当にすばらしい。
主演の佐藤浩一も高嶋政伸も実にいい。とくに佐藤は、「KT」や「ホワイト・アウト」での
無理っぽさが(後者でアカデミー賞最優秀助演てのはどうにも解せない)嘘のように活き活きと
している。高嶋もこれを見て以来、「こちら本池上署」での善良無比な役柄のときでさえ、
目からいきなり緑色の液体を流しそうで怖い。
この映画についてのamazonでの一般評の多くには、首をかしげざるをえない。
要するに★の数が少なくて否定的な見解が多いわけだが、いったいこの人たちはなにを
期待してこの映画を見る気になったのかと思う。やれ「鏡の演出がくどい」だの
「曖昧すぎてわけがわからない」だの…そういう感想しか持てないような人が、星の数
ほどある映画のなかから「Jホラー・シアター」の第一弾である落合正幸の本作を、
金を払ってあえて選んで見るという動機がまるでわからない。
「つまらない映画だが、ホラー・ファンなので最後まで見た。草村礼子がせめてもの救いだ」
???これをつまらないと思うファンとやらは、今までどんな映画を見てきたおかげでファンに
なったんだ?
が、そんなことはどうでもいい。とにかくこの一作で、落合正幸は筆者のなかで鶴田法男を
抜いてトップに躍り出た(もちろんほかがよくないわけじゃない、中田秀夫黒沢清
清水崇もみんなそれぞれに好きだ)。あと、本作がいいか「催眠」がいいかってこととなると、
一概にはいえない。これもまた、それぞれにいいってことだ。
断言してもいいが、今の世界のホラー映画の最前線がここにある。
さっそくamazonのマーケット・プレイスで半額以下が出ていたので注文した。
そこがわれながら相変わらずせこいが。
感染 プレミアム・エディション [DVD]