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鉄人6、7、8

『鉄人28号』大研究―操縦器(リモコン)の夢 (講談社SOPHIA BOOKS)
鉄人28号』原作完全版6巻7巻8巻。8巻を2冊買ってしまったことが判明。
6巻の帯の背は「空飛ぶアカエイ軍団」。前半は前巻でのニコポンスキー亡きあとの悪役
ジャネル・ファイブ(旧シャネル・ファイブ、フランスの怪盗)が活躍。この男はロボット・
コレクターで、鉄人をもコレクションにしようと狙っている。蜘蛛型ロボットとか羽虫型
ロボットとかさまざまなロボットで応戦するのが楽しい。このジャネル・ファイブは
人を殺さないのが信条で、なかなか紳士的。だが途中から謎の空飛ぶアカエイ軍団が
登場するが、これはどうもファイブの手下ではないらしい。やがてファイブは正太郎との
戦いの末に、「いつかまた会おう」と行方を晦ます。すると次はモンスターという怪物
(この言い方はおかしいが、この怪物には名前がない)が現われる。こいつはまさに
フランケンシュタインの怪物そのままのやつだが、当時筆者はフランケンシュタイン
なんて知らなかったので、何なんだこのおっかないツギハギ野郎はと思った。ついでに
モンスターなんて言葉も知らないので、こいつの固有名詞だと思ってた。で、それを
操っているのが謎の覆面怪人であることがわかる。
7巻の帯は「難敵!アカエイ&モンスター」。ここでアカエイ軍団を操っているのも同じ覆面
怪人であることが明らかに。ちなみにアカエイという魚もこの「鉄人」で初めて知った。
で、その怪人は正体不明だがとにかく凄い科学者らしい。ところが行きがかり上以前から
ちらほら出ていた悪役スリル・サスペンス(カポネ風のアメリカ・ギャング)とツルむはめに
なる。この二人が凸凹コンビというか、たがいにまるで信用していなくてピストル向け
合ったりするのに、利害関係が一致するときだけぎりぎりのところで協力し合ったりする
のが面白い。最後にモンスターは死んでアカエイも鉄人にやられてしまうが、二人は
協力して新たな強力ロボットを造りはじめる。
8巻の帯は「鉄人vsバッカス」。ここで怪人の名前が不乱拳酒多飲(フランケンシュタイン)
博士であることが明かになる。覆面も脱がされて顔が明かになるが(長い白髭あり)、
なぜかまた覆面を被りたがる。サスペンスの協力で完成したロボットがバッカスで、
これが物凄い強力。サスペンスはこれを不乱拳博士から奪って暴れさせ、悪事の限りを
尽くす。自衛隊はかなわず、鉄人さえ苦戦。ところが不乱拳博士が死んだはずの
モンスターを蘇生させて逆襲に転じ、サスペンスからバッカスを奪い返す。以下次号。
鉄人(正太郎&大塚署長)vs不乱拳(バッカス&モンスター)vsスリル・サスペンスの
三つ巴の戦いはまだまだ終わらない。
この6〜8では村雨健次が7でちょっとだけ出て正太郎の味方をするが、以後ご無沙汰なのが
寂しい。あと、バッカスというロボットがもっとカッコいいはずだったが、ちょっと
イメージと違ってた。というか、下半身がちょっと細すぎるだけのことかもしれない。
あとアカエイもロボットだったと判明するので、やっつけられるとき壊れてコイルや
螺子がはみ出す、なんてシーンがちょっと見たかった気もする。その点モンスターは
どうなんだろうか、まだ明らかになっていない(純然たる機械かあるいは死体の繋ぎ
合わせとかか)。もちろんこいつは藤子不二雄のフランケンより一時代早い。
鉄人はつねに、なかなか姿を現わさない。それでも子供心にも苛立たなかったのは、
いざ出てきたときの抜群のカッコよさもさることながら、それまでのストーリーや
キャラクターたちの面白さが補って余りあったからだろう。ラストに三分間だけ出てくる
ウルトラマンの原型かもしれない。