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わが偏愛的女優痴話11 藤原紀香(葬送)

昔の男 Vol.1 [DVD]
これまたあまりにも安売りだ。まず個人的に言えば、嫌いな女優じゃなく安心して見ていた1人だったが、もともとそんなに偏愛はしていなかった。それでもこの安売りには大きく首をかしげる。いくらSOSのTakeと破局して自棄気味になっていたとはいえ、これはないだろ。いくら同郷だとか言ったってさ。やはりスターは華のなくなる、夢のなくなる結論を出しちゃだめだって。仮にも天下の藤原紀香なんだからさ。山口智子&唐沢、松嶋菜々子&反町ぐらいのレベルを目指さなきゃ。キムタク&工藤…ってのはちょっと別にしても。女優だったらせめてドラマのスタッフ(江角マキコ櫻井淳子)とか、格は落ちても脇役俳優(高島礼子、松本明子)ぐらいはイッとかないと。ただ田中美佐子の場合はちょっと例外っぽいが、それはさておき・……
藤原と言えども連ドラ女優としては初期は数多くの脇役をこなしてる。『ラブジェネ』(木村・松)『WITH LOVE』(竹野内・田中美里)『ハッピーマニア』(稲森)など意外なところで脇に廻ってる。やがて主演を張るようになるが、その頃には(よく言われたことだが)〈藤原紀香〉という固有名詞が世間的に記号化して、それが逆に作用した不運もあって視聴率や話題性に恵まれない結果が続いた。あげく「主演女優失格」などと週刊誌に書かれる始末。テレビ局がそれを真に受けたわけじゃあるまいが、わずかなCMを残して彼女の姿がテレビ画面で本当にまったく見れないという歳月がしばらく続いた。格闘技番組のMCの座も小池栄子東原亜希に追われ、「俺の紀香が離してくれなくてさ」という小遊三の『笑点』での落ちの座もイボンヌに奪われ。だがその後世間の風向きが一回りしたころ、『大奥 華の乱』での準主演を得られたのを契機に再びドラマ界に復帰し、これからという矢先に……
ただ、これは勘繰りすぎだろうが、現在テレ朝で連ドラ主演中なのに加えて、折しも今夜〈金曜エンタテインメント〉で主演OAってのがどうもタイミングよすぎるようにも……しかしそのためってのはいくらなんでも間尺に合わんから、まあちょうどいい頃合いだからダブらせない手はないって程度のことか。ともあれ『だめんず・うぉ〜か〜』の録画はこれを機にやめた。
それはともかく、藤原主演ドラマの中で一番好きなのは『危険な関係』だ。殺人犯(豊川悦司)が他人に成り変わり、その力を利用して刑事(藤原)の追跡から逃れる話で、異様な緊迫感とスケール感があって、『ザ・テレビジョン』誌のドラマ・アカデミーの大賞も獲った秀作だが、背伸びもデフォルメも少ない一番自然な彼女の〈女優〉が見れた作だった。内館牧子ドラマ『昔の男』はこれに賭けるというほどの熱演だったものの、ライバルの危ない人妻をやった富田靖子のぶっ飛びさに食われてしまったのが惜しかった。