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『魅惑のバラード/夜のためいき』

natsukikenji2007-01-12

和田弘とマヒナ・スターズ(中黒があるのが正式らしい。あるいは昔だけなのか)のムード歌謡アルバム復刻盤。昨年逝去した三原さと志の追悼の意味も込め購入。それにしてもこんなのがあったとは! 収録曲は次のとおり(括弧は被カバー歌手)。
1女っぽいね 2倖せはここに 3ベッドで煙草をすわないで(沢たまき) 4何んでもないわ 5女ひとり(デューク・エイセス) 6夢は夜ひらく(園まり) 7知りたくないの(菅原洋一) 8ラスト・ダンスは私に(越路吹雪?) 9今夜は一人じゃ眠れない 10夜霧のしのび逢い 11別れた人と(デューク・エイセス) 12アングスティア 13私って駄目な女ね 14女の意地(女の恋ははかなくて) 15知りすぎたのね(ロス・インディオス) 16赤坂の夜は更けて(西田佐知子) 17盛り場ブルース(森進一) 18ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー(越路吹雪) 19花化粧 20霧にむせぶ夜(黒木憲) 21夕月(黛ジュン) 22コモエスタ赤坂(ロス・インディオス) 23ゆうべの秘密(小川知子) 24夏の日の想い出(日野てる子)
被カバー歌手は判る範囲(洋楽は疎いのでよく知らない)。歌詞カードのみでライナー・ノートが入ってないのが残念。「私って駄目な女ね」のみ大形久仁子(のちに「浮世絵の街」をヒットさせた内田あかり)とのデュエット。驚いたのは、この曲の作詞者が上岡竜太郎だったこと。「霧にむせぶ夜」の黒木憲も昨年逝去した。ほとんどすべてが当然ながら恋の歌だが、「倖せはここに」のみ家庭円満の歌なのが面白い。メロディーは思いきりマイナーで甘い恋愛調なのに。またマヒナは元々はハワイアンのはずだが、モロそれ系なのは「夏の日の想い出」のみ。でもこれも歌詞と原歌手(日野)のイメージがそうだってだけで、厳密には違うのかも(音楽に疎いから判らん)。「知りすぎ」とか「コモ赤」とかのラテン系のがむしろ目立つ。だが何といっても〈これぞマヒナ〉なのは「女の意地」「赤坂の夜」「ワン・レイニー」の路線! あとこれに「ウナ・セラ・ディ東京」「銀座ブルース」が加われば最高なんだが。ポイントは、以上5曲のうち「ウナ・セラ」(宮川泰)以外の4曲+「夏の日の」が鈴木道明作詞作曲であること。この鈴木って人ほんっとに天才だと前から思ってるが、その割に何も知らないのでこの際検索してみた。が、やっぱりよく判らない。ただ、プロパーの作曲家じゃなく、東京放送(現TBS)社員だったらしい。それと、かつて「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件」というのの当事者だったとのこと。つまりこの曲が某洋楽曲に似てるってことで裁判になったが、10年係争したのちシロという結論になったらしい。世の中何があるかわからないものだ。なお「女の意地」は西田佐知子との競作で(他にもいたのかもしれないが)、西田がこのタイトルで唄い、マヒナのほうは「女の恋ははかなくて」だった。
ところでこのアルバムの写真には、最もメインなメンバーの(上掲)と、入れ替わりがあったときのものの2種が表裏に使われてる。入れ替わりといっても何度もあったようだが、要するにベースの山田競生(左端の人・俳優広岡瞬の父親とのこと)と裏声の佐々木敢一(右端)の二人が抜けて替わったときのだ。ただし二人とも後年復帰して現在にまでいたる。松平直樹(右から3人目)も1、2度出入りしてるはずで、変わらなかったのは和田(左3人目)・三原(右2人目)の他はギターの日高利昭(左2人目)だけだろう。この日高という人も昔から何となく気になってるが、未だによく判らない。
ともあれ、このころのマヒナは最強だ。三原松平佐々木のボーカル3トップに敵なし。