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「屋上のパーティー」

natsukikenji2007-02-10

東山魁夷の世界
東山魁夷と信州の美術展』(於新潟県立近代美術館(長岡市))を観にいってきた。とはいっても、まったくもって「なんとなく気になったので覗いてみた」という程度で、元々絵なんてものを観る素養も知識もまるで持ち合わせていないが、にもかかわらずときどきこの美術館に何か観にいくのは、その建物の珍妙な構造(信濃川河川敷に位置し、外庭園を散策していくといつの間にか美術館の屋上に出ているというエッシャー的?構造)が割と好きだってこともある。で、この度も、昔から雑誌などで見かけるとなんとなく好きだったというだけの東山魁夷を目当てに覗いてみたら、迂闊にも、魁夷画伯の絵は3分の1ぐらいであとは信州ゆかりのいろんな画家の絵で、つまりこの展覧会のタイトルのとおりなわけで、魁夷作品ばかりが無数に展示されてるようなイメージでいたのは勝手な錯覚だったにすぎないというお粗末。それでもやっぱいいなあと単純に思える魁夷さんの絵をいくつもナマで見れたのはよかった。
そもそも今回のは全作品が長野県信濃美術館(善光寺に近いらしい)の所蔵品とのことで、中でも魁夷はそこに多くの作品を寄贈し、記念館も隣接しているそうで、この人の名前でぐぐるとトップにこの美術館が来るほどだ。別に長野出身じゃないそうだが、まあ信州は新潟なんかに比べたらはるかに絵になる土地柄だろうから、画家にとっても愛着が湧く風土なのに相違ない。因みに筆者が今回の魁夷作の中で一番好きだったのは右側に掲げた絵(遺憾ながら拡大できない)。タイトル失念したが、湖に浮かぶ半島ないしは中ノ島に不自然なほどの屹然たる木立ってのが幻視的でいい。


ところで章題「屋上のパーティー」はその東山魁夷作ではなく、1点だけ展示されていた画家の一人で、長野出身らしい臼井文平という人の絵。一見してぐぐっと惹かれた。屋上かどうかさだかならぬ場所で数人の男女がギターやらマンドリンやら酒瓶やらグラスやらをとっ散らかしながら怠惰な宴を楽しんでいるところをデフォルメされた俯瞰図で表わした絵だが、1920年代制作という随分古い作品で、それがアールデコ調とでもいうのか(たまたま昨日『迷宮美術館』の特集観てたら似た感じだったので)、なんともモボモガな?一種退廃的な雰囲気で描かれてて、思わずこいつはいいなと呟きそうになった。もともとそういう群像図に弱い性癖のせいもあるが。
ところが帰宅してから検索してみると、この絵についても画家についてもほとんど判らない! 記録はわずかにあるものの、画像はひとつもない。魁夷画伯なら一発で無数の作品がネット上で見れるってのに! 文化勲章受賞者と無名(に近い)の画家ってのはこんなにも違うものかと。どうやらアメリカに渡って創作活動してた人ではあるらしいが。こりゃ「屋上のパーティー」再観しにもっかい美術館にいくしかないかな。そして写メで盗み撮りか……