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わが偏愛的女優痴話12 吉野公佳

natsukikenji2007-04-30

DVDは実はもう一本見た。窪塚俊介主演『恐怖依存症』というインディーズ系のホラー。ヒッチコックの後継者を自認(妄想)するニートなマザコン・キモオタ映画青年が亡母似の美女(吉野公佳)をストーキングする結構しょうもない話だが、妙なところでクスリとさせて面白かった。ってことで吉野公佳はどっこいしぶとく生き残ってる。つい昨日も土ワイでちょい役(偽目撃者)で出てた。
とにかくドラマでのちょい役があまりにも多い。そんな中で印象的なのは『クリスマスキス〜イブに逢いましょう』(1995テレ東)での、無名の頃の土田晃之の若妻役だ。ヒロインの友人で殺されかけたりと、一応準レギュラーだった。因みにこの連ドラは中嶋朋子主演の多重人格物サイコ・ミステリーで、新潟では遅れて深夜放映されてた。視聴率が激悪だったためソフト化もされていないが、実は隠れた異色パズラーであって、最終回に犯人当てクイズがあって真相はキャストにも知らされてなかったなんて趣向もあった。世間的にまったく認知されてないのが惜しい。
さて吉野公佳のその他主なドラマではまず『スカイハイ』(2003テレ朝)の第1回ゲストがある。ヒットして映画化もされたシリーズの初っ端だからこれは結構重要だろう。他に『おみやさん』『慶次郎縁側日記』『こちら本池上署』etcと端役は枚挙にいとまがないが、ほとんど見逃してる。月9『HERO』にも出てたらしい。とくに見たいのは『牙狼』(2006テレ東)のガルム役。メイクやアクションがかなり派手らしい。
一方映画では、デビュー後間もなく『新・百合族 先生、キスしたことありますか?』(1993)という意外なのがあって、当時女子高生ながらきわどい路線でドキリとさせた。だが何といっても代表作は『エコエコアザラクWIZARDOFDARKNESS』(1995)『エコエコアザラクⅡBIRTHOFWIZARD』(1996)だ。佐藤嗣麻子のデビュー・シリーズにして、邦画ホラーの金字塔。とくに前者は菅野美穂を一躍日本のホラー・クイーンの座に推しあげたが、その後展開するエコアザ・シリーズの中でも最も黒井ミサの王道イメージで行った吉野公佳の功績は大きい。しかし女優としてはその後は伸び悩み、アメリカでインディーズ映画『BAJARUN/デス・ドライブ』(1997)に主演したりと試行錯誤したが結局パッとせず、専ら私生活でのネプチューン・名倉の恋人という認知にとどまりがちとなる(その後別れ名倉は周知のごとく結婚)。転機となったのは三池崇史の『極道恐怖大劇場 牛頭(ごず)』(2003)に起用されたことで、ある意味総てを投げ打っての鬼気迫る大熱演をやってのけた。カンヌの監督週間で評判となり、晴れてかの地で赤絨毯を踏んだ。しかし役どころが役どころだけに日本での評価が急騰するとまではいかず。それでも居ながらにして妖しい雰囲気を出せる存在として重宝されつつはある。近年の主なものでは『新・影の軍団第五章服部半蔵VS陰陽師』(2004)『新・影の軍団最終章服部半蔵最期の戦い』(2004未見)、竹内力制作『幻覚』(2005未見)、『MURAMASAムラマサ』シリーズ(2005未見)等がある。