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東電・続

natsukikenji2007-07-18

柏崎刈羽原発についに停止命令が出た。停止命令というのを出すことが可能で、停止することも可能なのなら、このままずっと(永久に)停止したままでいいんじゃないか。これから真夏に向かいどれだけ電気が不足して大変なことになるとしても、チェルノブイリの二の舞になるリスクを棚に上げてまで稼動させねばならない理由はどこをどう探しても絶対にないはずだ。まして、300軒もの民家が倒壊して年寄りが下敷きになって死んでる瓦礫と廃墟の真ん中で、昨日まで鼻くそほじりながら放射能海に垂れ流してたおっさんたちが「そろそろほとぼりが冷めたろ」とかいって性懲りもなく原子炉いじくりはじめるなんていう図は、ディックの終末SFにも出てこない異常な光景だ。しかも過去数十年に渡ってトラブルを隠し続けてきたことが明らかになって、東北電力とは結構仲良くやってる県知事(ビッグスワン命名権を売った)からさえ「東電の信用は地に落ちた」と絶望視されてた矢先だ。不正やってた北海道の食肉加工会社がついに破産したらしいが、あそこなんてこっちに較べたら遥かに可愛いもんだろう。今回のことにしても、まったく呆れ返るというのもあほらしくなるほど信じがたい。これほど大きな地震でさえ一般民家や企業ではほとんど見られなかった「火災」という事態が、世界最大の(すなわち世界一安全対策に気を使ってるはずの)原発でいとも容易く起こってしまってる。挙句の果てに放射能を漏らし、しかもそれを隠してた。しかもそれがどう起こったかといえば、なんか沢山並べといたドラム缶みたいなのが揺れで倒れて零れたとかいうことらしいが…安全管理なんて原発の千倍も杜撰にやってる我が家ですら、灯油がポリ容器から零れたなんてことさえ数十年間一度もないぞ。一体何やってるんだか… 挙句の果てにあの記者会見。人一倍気の利かなそうな顔したおっさんが、返答に窮してほんとに頭抱える始末。今時あんな格好2時間ドラマでもやらないよ。あれが天下の大電力会社がメディア対応のために送り出さねばならなかった人材なのかと思うと、何ともはや… もう東電はこの際社保庁解体するついでに潰しちまうしかないだろ。そもそもあの長年の隠蔽工作が明るみに出た時点で普通の会社なら即刻機能停止してたはずなんだから。
毎日新聞』7/8日曜版書評欄で丸谷才一が元東電会長平岩外四の著作を採りあげ、超一流の企業人でありながら『ユリシーズ』を原書で読む(!)ほどの大変な読書家・文化人だったと絶賛してるが、そういう立派な経営者の下で、人類史上最も危険な隠蔽工作は着々と行われていた。平岩は今年92歳で大往生を遂げたとのことだが、ある意味二人といない幸福な人生といえるかもしれない…


あまり知られていないが、新潟は日本一海水浴場が多い県で、群馬や栃木や長野など関東甲信圏からも多数の海水浴客がやってくるが、当然ながら今年は激減するだろう。災害現場に近い海岸でのんびり水浴びもないというのもさることながら、ちょっとでも放射能なんてものが漏れた海岸線に(どれだけ離れていようと)好きこのんで遊びにいこうとは俺だって思わない。ダンボール入りの肉饅食うほうがはるかに安全だ。こうして日本海はますます灰色に、いや暗黒になっていく…