矢野貴章・続

FW矢野がオールスターに初選出された。JウエストのFWでは磐田の中山・広島の佐藤ら錚々たる面々を上回るトップ得票。というのはアルビのサポ数からして当然という面もあるんだが。他にMF坂本とGK北野が選ばれた。千葉で隊長と呼ばれていたという(新潟でもそう呼ばれてる)坂本が初選出というのは意外だが、横浜FCに移った山口が抜けた穴を久方ぶりに埋められる強いリーダーシップの持ち主として抜群の存在感を発揮してきたから当然の結果だ。北野も不動の守護神だった野沢からその座を奪い完全に定着した。得票も一時は川口を上回ってたと思う(今回は一応推薦という形にはなったが)。DFからも永井や千代反田あたりが選ばれてもおかしくないと思ったんだが……
さて矢野はアジア杯でハノイにいるわけだが、現在までのところこの前の準々決勝オーストラリア戦で延長後半終了間際に数分投入されただけで、当然いまだ無得点(通算でも)。だが本人の談によれば、試合後オシムから｢たとえ数分だろうと一人少ない相手から得点できないとは何事だ｣と叱られたという。これを紹介した記事の記者は｢監督は冗談半分でいったのかもしれない｣と書いていたが、そうは思わない。劣勢でしかも疲れも上回っていたオーストラリアは明らかに最後はPK戦狙いできていたが、逆にオシムは何としても敵のその土壇場の手に乗るのを避けたかったはずだ(オシムが大のPK戦嫌いなのは周知のことだし)。最後にギリギリで入れたFWの無得点を叱ったオシムは正しいだろう、｢お前ならできたはずだ。というかそれがサブの役目だ｣という前向きな鼓舞のメッセージとして選手に伝わったはずだし。リードした状態で入れたわけじゃないから時間稼ぎであるはずもないし、逆にあの必死の状況で｢三人使いきらなきゃもったいない｣みたいな後ろ向きな意志だったら選手に失礼だ。
今日25日はいよいよ準決勝サウジ戦だが、矢野が再び使われるかは極めて微妙なところだ。ある新聞は｢4番手の矢野が被災地新潟を勇気づけるために頑張る｣みたいなことを書いてたが、勝負に徹するオシムがこの期に及んでそんな｢粋な采配｣をするとは思えないし、そんなことが｢粋な采配｣でもないだろうし。とにかくよほどのことがない限り(誰か怪我するとか。もちろんそんなことがあっちゃ困るが)出るとしたらまたギリギリの数分程度だろうが、そうなったときこそ叱られたことを肝に銘じてガツガツいけばいい。そして願わくば決勝までいって優勝して、晴れてオールスターに、というのが理想だ。その先には3位の位置で臨むリーグ再開(首位ガンバとの後半初戦)が待っている。