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美川憲一

美川憲一 旅情歌謡演歌ベスト さそり座の女/お金をちょうだい/おんなの朝
9/11於長岡市立劇場。いや面白かった。半面不満も多い。とにかくMC(といっていいものか)が凄い。そこが最大の聴きどころってぐらい。それと客席に降りてぐるりと握手してまわったりする(そういうのは初めてだ)ものだから、歌以外の時間とるわとるわ。まあ贈り物タイムみたいなの設けて行列作らせて壇上から受けとるのに時間かける(坂本冬美とか)なんてのよりは、自ら労を惜しまずって感じで好感持てるが。あと男の割に衣装換えが頻繁だから、その間司会がつなぐのにまた時間とるし。そんなこんなで、休憩なしで結構な数唄った割に「えーもう終わり」みたいな感はあった。
でMC(とはやっぱいわんだろうな、トークでいいのか)は何話すのかというと、要するにくだらない芸能ネタ(小柳ルミ子の新しいオトコの話とか)などなどなんだが、話の中身というより話術というか、いや術とさえいえないほんっとに台本も何もない楽屋話を好き勝手にべらべらしゃべりまくってるだけというその計算されてない自然な感じが、実に何とも凄いし面白い。時々<メタ落ち>が入ってくるのがまた笑わせる。しかも切れ間なく饒舌にしゃべりまくってる間じっと立ってるわけじゃなく、舞台の一番手前で左端から右端へそのまた逆へと一時も止まらずずーっと歩き続けてる! 美川っていうと一見ひ弱なイメージだが、実は相当なエネルギーの持ち主みたいだ。というかそういう楽しませ方の総てが、山と谷ありすぎの長い芸能生活から自然と滲み出るようになったものなんだろうなと思わせる。
で肝心の歌はというと、懐かしい定番も入れてたのでまあよかった。「柳ヶ瀬ブルース」「さそり座の女」「新潟ブルース」「おんなの朝」等。残念ながら近年の歌はどれもなかなか区別がつけづらいが、初っ端に「愛の讃歌」に続けて唄った、やはり越路吹雪のカバーだという「嘘」って曲がよかった。越路との親交話も面白し。
この前テレビでいってたが、美川は売れなくなってからの不遇なドサ廻り時代が17年も続いたんだそうで、それがコロッケの物まねを契機に再びスターダムにあがって紅白にも再出場果たしたが、しかし以後随分長く出続けてるように思えるその紅白も、実はまだ16年連続なんだそうだ。つまり不遇時代になおも1年足りないわけで、それがいかに長かったかってこと。しかしそんな美川をデビュー時からテレビで見てるこっちも、いかに年寄りかってことだな。

たまたま見つけた余談だが、「柳ヶ瀬ブルース」はもと「長岡ブルース」だったそうな。といっても長岡違いだが。↓
http://www.eonet.ne.jp/~miida/yanagaseburusu.htm