.

ワイド・サスペンス4作

natsukikenji2007-10-14

(前にも書いたが2時間ドラマとは敢えて呼ばず「ワイド・サスペンス」とする)
9月末〜10月上旬にかけて新作4本に恵まれた。9/29土ワイ『西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官・死体が線路を歩いた!? 山形鉄道フラワー長井線狙われた終着駅! 密室列車内の泥だらけ毒殺トリック』、10/1月曜ゴールデン・秋の特別サスペンス『税務捜査官 窓際太郎の事件簿16』、10/2(火)ドラマスペシャル『検事霞夕子SP豪華客船殺人クルージング』、10/13土ワイ『法医学教室の事件ファイル 北九州─横浜配達された解剖遺体…女医二人が鑑定対決! 魚のトゲに疑惑が!?』。
最近は連ドラが自分的に不調なせいもあってか、ワイド物ばかり見てるような気がする(不調といってもとくに不作だとかいうわけじゃなく、単に好みの女優の出るのが減ってるってだけなんだが)。およそクリエイティヴな仕事に携わってる人たちはこの手のドラマというとハナからバカにしてて、好んで見るなんてことはまずないってのが普通だろうが、筆者は根がクリエイティヴじゃないせいかこういうのは昔から全然オッケーだ。というかむしろ面白くて大好き。「凄く」がつくほど面白いこともある。それもいわゆるB級C級のをモンドっぽい観点からハスに構えて面白がるとかいうんじゃなく、純粋に「それ自体」として面白いと思う。これも若い頃から上等のエンタテインメントを知らずに育っちまったせいかな。
そんなことはさておき、『鉄道捜査官』(写真)は沢口靖子で久々。脇は地井武男山村紅葉他、ゲスト小沢真珠松村雄基他。替え玉トリックやアリバイトリックの他に終盤の展開自体に捻りがあるのがよかった。が一番の見所はやはり沢口の相変わらずの美貌ではあるわけだが。演出村川透。『蘇る金狼』などを偏愛する濃い映画ファンは「巨匠がなんでドラマなんか」とか思うかもしれないが、全然手を抜いたりはしてない。ドラマファンにはむしろこっちのが活き活きした映像に見えるくらい。
『税務捜査官』は小林稔侍だが目当てはゲストの木内晶子。前にも書いたような気がするが、地味ながらここまで女優として成長するとは思わなかった。これも終盤に彼女の役どころを巡って一つハッとする展開があってよかった。因みにレギュラーの麻生祐未が毎度とんでもない女をやってるわけだが、とんでもなさすぎで困りもの。
『霞夕子』は鷲尾いさこ(新潟出身)が長年やってたのを真矢みきが引き継ぎ、鷲尾版とは全然違う独特の超自分勝手キャラでいい味出してる。無論『踊る大捜査線』での評価が下地になっての起用という面はあるだろう。今回のゲストは珍しくも松方弘樹で、コロンボ古畑型倒叙ラスト対決物だが、松方が団塊(これが鍵になる)というにゃちょい年食ってんじゃね?感はあった。因みに鷲尾の前は桃井かおりがやってたそうだが、遺憾ながら知らなかった。
『法医学教室』は名取裕子。実はこの人は守備範囲かというとすでにややキツい感はあるんだが、今回はなかなか面白かった。これまたある捻りというか、「この手のドラマならこう来るのが定石」という視聴者の先入観を逆手にとった手が一つ使われてて、その立役者となったある脇役俳優(ぶっちゃけ●藤●●)が面白かった。ラスト一同断崖に立つが、「ベタ」とかいう安易な擬似批評語を使う頭の固い手合いは「2時間物が懲りずにまたやってる」とか思うだろうが、現今の創り手は当然そんなことハナから判っててわざとやってる。
実は土ワイがもう1本『タクシードライバーの推理日誌』(10/6渡瀬恒彦)があったのだが、寝ちまったためちょこっとしか見てない。でもこれはまあいい、ゲストの田中美奈子(『DOOR3』いいよね)嫌いじゃないが(学会員ではあるらしいが)年貢納めちまったし。
それともう一つ上京時のため録画したまま未見のがある。真打『山村美紗サスペンス 赤い霊柩車22 代理妻殺人事件』(10/5金プレ)だ。いわずと知れた女王片平なぎさ。これは後日じっくり。ゲスト小沢真珠ってのが原作者的にも『鉄道』(西村)とかぶり気味で妙だな。

ところで『霞夕子』は今は亡き火サスの枠でSP物としてやったわけだが、そんなんだったらいっそ枠復活させたらいいのにと思う。代わりに連ドラ成功させたって面はあるだろうが、それだって他の曜日に移せないはずはないんだし。今のところ他の民放が日テレに追随(ワイドドラマ撤廃)してないのは天晴れだ。