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中丸新将

natsukikenji2007-12-15

http://www.fujitv.co.jp/3days/
12/15CX『土曜プレミアム特別企画・大韓航空機爆破から20年・金賢姫を捕らえた男たち〜封印された三日間〜』で自分的に目を惹かれたのは、この事件を起こしたテロリストの1人金勝一(偽名蜂谷真一)を演じたベテラン男優中丸新将だ。この人知ってる? 
ワイドサスペンス・ファンなら知らぬ者はいない、知能犯的なタイプをやったら右に出る者のいない悪役俳優だ。といっても(ここが肝心だが)「犯人」役じゃない、あくまで知能犯「的」な役どころをやる人、という意味だ。つまり事件ドラマの「犯人」は重要な役だからゲスト的な名の知られたタレントがキャスティングされるわけで、中丸氏のタイプはその周辺人物で且つ「悪」を具えた人物、ということになる。たとえば愛人にしていた女子社員を裏切り恨まれて殺される重役とか、巨悪に手を貸す悪徳弁護士とか、罪を犯したわが子をカネの力でかばおうとする団塊富裕層の父親とかいった役は実にピッタリくる。当然のごとくサスペンス系だけでなく時代劇(あまり見てはいないが)でもいわゆる悪代官や越後屋を数多くやってきているのは経歴を見れば判る。要するにこの人の最大の特色は、そういった役どころの演技を誰よりもコテコテにやれることだ。しかもこの人の場合、演技というより存在そのものがすでにコテコテに悪役っぽい(もちろん一見したところという意味でだが)。たしかにそういう役者って昔からいたよね、有名なところでは戸浦六宏(故人)とか田口計とか。でも戸浦は晩年は朝ドラで枯れた役やったり、田口はおもテレでコメンテータやったりと、そのキャラをどこまでも全うする例はなかなかないが、この中丸氏に関するかぎりは今のところ現役バリバリってこともあって、その手のドラマでその手の役をやってるところ以外ではまずお目にかかれない。因みにこういう役者さんたちは意外と(?)知性派が多く、戸浦は京大出身で教員の資格持ってたらしいし田口は東大卒だし、中丸も学歴は短大卒ながらフランス語が堪能だという。劇団四季出身で、娘は女優中丸シオンとのこと。
ところで『金賢姫を捕らえた男たち』での自殺する老北朝鮮工作員役は鬼気迫ってて、中丸氏の底力を見た気がした。しかしやはり――もちろんたまにこういうのもいいが──一番のオハコであるワイドサスペンスでの悪役をまたどんどんやってほしい。出てくるだけでもうワクワクするから。