沢口靖子2
12/17沢口靖子主演TBS月曜ゴールデン『松本清張スペシャル・塗られた本』
http://www.tbs.co.jp/nuraretahon/
沢口靖子、清張物で初主演。局のこの番組紹介の画像だけ見ると普通のサスペンス物のように予想されるところだが、これはある意味で妙にリアルで面白かった──といってももちろんリアルじゃないと面白くないとかいうわけじゃない、リアル「じゃないからこそ」面白いこともある、というかむしろそっちのほうが多いわけだが──ただ清張をドラマ化すると昔からなぜかしら、清張リアルとでもいえるような妙な生々しさが自然と出てくることが多いような気がする。それはその昔(70年代初め)NHK『ゼロの焦点』(十朱幸代・露口茂・奈良岡朋子・滝沢修)で初めて清張ドラマを見たときから、つい先日の『点と線』にいたるまでずっとそうだ。
この『塗られた本』ではストーリー上出版人や作家が出てくるが、普通なら紋切り型のキャラクターになりがちなところが、これまたどれも変にリアルだった。こういうのたしかにいそう・ありそうと思わせる。だがなんといっても凄いのは沢口の大熱演だ。夫のためベストセラー作家や銀行支店長を色仕掛けで抱き込む小出版社の女社主。善とも悪ともつかない業を負ってのたうつさまが何とも艶かしい。
その沢口が同時期にNHKで短期連続でやった『ひとがた流し』(北村薫原作)ではセミヌードになった(といっても背中だけ)らしいが、残念ながらそっちは見てない、哀しい結末の話ってのが苦手なので。