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美空ひばり

LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66 ジャズ&スタンダード
北野ファンクラブ』のオープニング・テーマ曲に使われてた美空ひばりの唄う「スターダスト」を聴いて以来、ひばりのジャズ・アルバムが欲しいなとつらつら思いながらずっと果たさずにきていたが、知人が某所で紹介していたこれ↓を契機にはたと思い出し、思い切って入手した。
http://www.1101.com/jazz/2005-05-19.html
アマゾンにあった主なものは『LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66』(2005・2枚組41曲)と『ジャズ&スタンダード』(1990・16曲)の2種で、前者は文字通りコンプリート後者はセレクションという感じだが、貧乏人としてはとりあえず後者を選んでみた。収録ナンバーは次の通り。
1. 虹の彼方に Over the Rainbow            2. ラヴ・レター Love Letters
3. 上海 Shanghai                     4. 恋人よ我れに帰れ Lover,Come Back to Me
5. アイ・ラヴ・パリ I Love Paris             6. ばら色の人生 La Vie En Rose
7. セ・マニフィック C'est Magnifique           8. クライ・ミー・ア・リヴァー Cry Me a River
9. スターダスト Stardust                 10. アゲイン Again
11. ダニー・ボーイ Danny Boy             12. 愛さないなら棄てて Love Me or Leave Me
13. ブルーベリー・ヒル Blueberry Hill          14. A列車で行こう Take the "A" Train
15. 愛のタンゴ I Can't Tell a Waltz from a Tango   16. 慕情 Love Is a Many-Splendored Thing
意外だったのは、全部英語原詞で唄ってるのかと思ってたらそれはむしろ極めて少数で(「恋人よ我れに帰れ」「スターダスト」「慕情」)、多くは日本語詞かもしくは前後半で日本語と英語とに分かれてる作りだった。「ジャズ・アルバムを作ろう!」ってことで作ったオリジナル・アルバムじゃなくて、いろんな機会に唄ったり録音したりしてきた音源を寄せ集めたものなので、やはりそれぞれの機会での他の曲との取り合わせ上日本語詞のほうがよかったりということなんだろう。幾つかがモノラル音声なのも、ライブで唄ったのを入れたりといった事情なんじゃないかと思う。
 歌はいうまでもなくすべて素晴らしいが、白眉はやはり「スターダスト」だ、歌自体のスケール感からしても。ひばりは勿論英語など話せなかったが(因みに楽譜も読めなかった)、とにかく音感が天才なので、メロディーを一発でマスターするなんてのは当然のこととして、英語の発音もわれわれ凡人のように「アイ・ハブ・ア・ペン」などとカタカナで憶えるなんて野暮はなしで、きっと原曲を聴くだけで詞の発音までも「音楽の一部として」その天才的な耳と声帯とで自然とマスターできちゃったんじゃないか。どの歌も英語で唄ってる部分の流暢さは舌を巻くばかりで、ペギー・リーだイーディ・ゴーメだといわれればそのまま信じてしまいそうなほどだ(勿論こちとらの野暮な日本人の耳が聴く限りにおいてのことかもしれないが)。伴奏の大半は、「真赤な太陽」の作曲者原信夫率いるシャープス・アンド・フラッツ。
ところでおいらはもともと美空ひばりは好きで、特集番組は欠かさず見てる。曲はどれも例外なくいいが、とくに好きなのは「東京キッド」「りんご追分」「港町十三番地」「車屋さん」「ひばりの佐渡情話 」など。