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木寺浩一

natsukikenji2008-03-02

今日のゼロックス杯をものにしたサンフレッチェ広島のスタメンGKは、元アルビ戦士木寺浩一だった。苦労人だ。JFL時代の京都に在籍したが解雇され引退、その後怪我からも立ち直り再起を目指して新潟(JFL時)に拾われ、長年にわたってひたすらサブとして雌伏、J1昇格後ついに第一線に立った。だが運悪くこれからってとき若返り策に圧されて放出、広島に移った。それがつい去年あたりかと思ってたら、もう今年で3年目とか。J1時の新潟ではチーム最古参ながらなかなか表舞台に立てずにいたが、腐らず黙々とベンチを固め続け精神的支柱であり続けた。そんな報われない男がせっかくの新天地で今年から降格というのも不運というしかなかったが(しかもレギュラーでもなかったのに)、しかし今日はJ開幕前の大事な一戦で昨季のリーグ覇者鹿島を相手にスタメンで勝利というのは、運気として最高なんじゃないか(GKとしては2点とられたとはいえ)。新潟じゃそんなことありえなかったもんな。あのまま居続けてもそんな機会はこなかっただろうから、ある意味捨てられて広島に移って正解かもしれない。同じ降格組でも甲府横浜FCに比したら底力的には断然強いチームのはずだから。何しろ顔触れ見ただけでも佐藤寿・森崎兄弟・服部・戸田・若手の青山・槙野・今季加入の超大物久保・そして我らが柏木と代表クラスがずらり揃ってて、2部だなんてとても信じられないくらいの戦力だ。もしこのチームで今季J2優勝メンバーに名を連ねたら、注目度は新潟の比じゃなくなる。それを目指して先発獲り狙ってもらいたいものだ。

ところで今日の問題の鹿島vs広島戦だが、いつもなら余所同士の試合なんて見る気も起きないところをつい眺めていたら、これが何とも引き込まれてしまった。赤紙3枚の大乱戦。しかも広島が2点リードされながら久保佐藤の2枚大看板で追いつくなんて展開、開幕前夜の号砲戦としちゃこの上ないだろう――そういう大枠を見るかぎり。
しかし中身は素人目にもかなりまずい。いや試合自体は迫力満点で他人事ながら面白いほどだったんだけど、俺が思うに問題はとにかく鹿島側にあるな。まずDF岩政のGK木寺に対するあの後ろからのちょっかいは絶対頂けない。それから経緯がどうあれ敗戦直後にサポが乱入したってのは絶対ダメだろ。鹿島は久保のPK判定巡って抗議出したらしいが、そんなことより自チームの選手の試合態度とサポの管理直すほうが先じゃないのか。マスコミは何かというと審判を悪者にしたがるが(さっきもスパサカ見てたら小倉と加藤が「空気読んで手加減するのがよい審判」みたいなこと臆面もなく公言してたが、とんでもない話だ)、今日の一戦は最初からああいう展開になっても仕方ない危険な雰囲気が漂ってたし(天皇杯の因縁とか覇者鹿島の面子とか降格広島の意地とかいろんな要素があっただろう)、何より久保はどう見ても押し倒されてて、PK判定で全然おかしくない。それをチェアマンまでが「審判は反省しているはず。リーグ開幕までに準備をやり直してほしい。こういう試合でJ2が優勝したのはいいことではない」なんて発言するってのは、明らかにおかしい。それってつまり「世間的な流れからして鹿島を勝たせるのが今日の審判の仕事」といってるのと同じだろ。俺は別に鹿島嫌いでもないし広島贔屓でもないが(むしろどっちも新潟にしてみたら羨ましいチームだってのが正直なところだ)、今日に関するかぎりそこらへん絶対に何かが間違ってると思った。まあ変な馴れ合いムードで開幕するより、最初からこういう波乱含みのほうが面白いっちゃ面白いかもしれんが?