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『モンゴル』

ウッカリしてたが、観た映画がもう1つあった。浅野忠信主演『モンゴル』。昨日採りあげた3本より前なので今更の感だが。
http://www.mongol-movie.jp/

これもなかなか凄い映画だ。チンギス・ハーンは若き日(テムジンの頃)に長らく投獄されていたんじゃないかという学説をもとに、どん底から這い上がって最強の支配者となっていく男の姿を大胆な想像によって描いていて、何となく『ベン・ハー』を連想させる面もありまた日本の戦国絵巻に通じる面もあるが、とにかく勇壮にして野性味たっぷりなのがいかにも「モンゴルッ!」って感じだ。戦い(闘い)の迫力も凄まじい。この映画、上映時にフィルムを使わないDLP(デジタル・ライト・プロセッシング)とかいう方式で見せてるらしいが、アクション・シーンの映像美に独特感があったような気がしたのはそのせいだろうか(いやたぶん気のせいなんだろうな。そういうのに疎いからよく判らん)。そんな文字通りモンゴル色濃厚な映画でありながら、実はドイツ・ロシア・カザフの諸国も加わった合作で、しかも編集は『マトリックス』でアカデミー賞獲ったアメリカ人だったり、主演は勿論日本人浅野だし、その敵役は中国の名優らしいし、ってことで裏面は相当国際色豊からしい。だがとくに目を瞠ったのはチンギスの妻役をやったクーラン・チュランというモンゴル人女優。監督が大抜擢した無名の新人とのことだが、夫のためには敵の妾になることすら辞さないまさにモンゴルの大地然とした逞しい女人像(その風貌からして)を力強く演じきってる。いや勿論その夫役の浅野も相当よくやってるよ、母国で公開されるのかすら判らん状態で、しかも日本人は自分独りで、全篇モンゴル語だし、当然主演の重圧もあるだろうし、さぞ大変だっただろうな。その意味でアカデミー賞候補になって注目されてほんとよかった。彼って<コテコテ演技をしない派>=<抑えた演技に徹する派>の旗頭みたいなところがあって、どちらかというとコテコテ派(例えば陣内孝則とかね)が贔屓なおいらとしてはこれまであまり好きでもなかったんだけど、今回ので相当見直した(と偉そうなこといってるがね)。
同じチンギスをテーマにした反町隆史主演『蒼き狼』は公開時未見に終わったので、そっちもこの際レンタルで覗いてみたいなと思ったものの、残念ながらまだ果たしてない。