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大久保問題

natsukikenji2008-07-02


どうでもいいことといえばそう思えなくもないんだが、いわゆる大久保問題というのは一応の決着(それもある意味最悪の形の)を見たものの、ここまでこじれにこじれたしこりはいまだ暗然と残り、それどころかいずれどこかで傷口が再発する惧れすら孕んでいそうな気配を感じる。つまりヴィッセル神戸の大久保OA供出拒否の姿勢が絶対的に頑なであるため、昨日(6/30)反町五輪代表監督がついに召集を断念したわけだが、新聞報道は交渉の実質的な窓口になってた協会側(具体的には小野技術委員長)の不手際が主な元凶だという説でほぼ一致してるようだ。つまり正式要請が遅すぎたこと、大久保の膝痛への配慮や低迷してる神戸の現状への理解が希薄だったこと、あるいはとにかく「召集には強制力あり」という高飛車な交渉姿勢で一貫してたこと、等々の理由が神戸の不信感を増幅させたというんだが、しかしほんとにそういう協会のやり方だけの問題なんだろうか。神戸の安達社長の曲がった臍が元に戻らないのは、むしろ実は監督の反町のやり方のほうに原因があるんじゃないのか、という気がしてならない。
つまり、たとえ交渉窓口が表向き協会ということになってるとしても、日本は根回し社会、最終的な召集権持ってる監督自身が最初から水面下での交渉に積極的に動いたほうがよかったんじゃないか、というかそうすべきだったんじゃないかってことだ──たとえ役割分担の垣根から逸脱したとしてもだ。なのに反町は、所有権持ってる会社(神戸)にはいかずに、それどころか会社の頭越しに大久保個人に直接意向を訊いたそうじゃないか。しかも以後はその〈内通〉の成果に安堵したのか、「もうオレの手は離れてる」とかいって実質交渉を協会に任せきりにして、そのくせぎりぎりになってもなおこじれてると知ったら、掌を返したように慌てて自分もテーブルについた。それはちょっと素人考えでもおかしいと思えるよな。自分が一番の当事者なのに最後の最後になってやっと重い腰をあげてくるってのは。任せきりにするんならするで徹頭徹尾そうすればいいんであって、そうでないなら何で最初から自分が出てきて直接誠意を見せないのかってことだ。しかも裏では選手個人と密約ときちゃ…神戸でなくても頭にくるだろう。その件では最後に反町自身が詫びたらしいが、安達社長は「今更遅い」と一喝したとか。さもありなんだ。大体低迷してるとかいったって今季の現段階は最下位の千葉と札幌以外の10チーム以上がほとんど団子状態で、五輪に出たがってる選手を出させられないほどの深刻な状況にあるようには見えないし、膝に痛みとかいったってどこでも多少の故障抱えてない選手なんていないといってもいいんだから、神戸はどう見ても必要以上に意固地になってるとしか思えないわけで(例えば人のいい新潟だったら、矢野にもし同じ話が持ちあがったなら何があっても絶対に断ったりしないだろう──その良し悪しは別にしても)、そういうのは往々にして「協会」とか「不信感」とかいうようなでかいことばかりに原因があるわけじゃなくて、むしろ個人(つまりこの場合は反町)の細かい気配りとか日頃の態度とかいったような、いってみればその程度の〈つまんないこと〉のほうが実は「ムカつく」とか「あいつ気にイラねー」とかいったより強い悪感情を呼び起こしてしまいがちなんじゃないのか。
しかしこうなると一番可哀相なのは大久保だよな。何かと言動に問題の多い男らしいが(A代表でも3試合停止食らってる最中だし)、今回の件ばかりはちょっと気の毒に思える。