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『モノクロームの少女』

映画『モノクロームの少女』、於T・ジョイ長岡。
http://www.is-field.com/monochrome/
驚くことにおいらの古里栃尾(旧栃尾市=現長岡市編入)を舞台にした映画だ。
(地元先行上映時ポスター)
監督の五藤利弘という人は長岡市十日町(十日町市ではない)出身とのことだが、よくまあ直接の故郷じゃない地域を選んでくれたものだ。何より全篇栃尾ロケってのが凄い。そんな映像作品は史上初じゃなかろうか(昔大河ドラマ天と地と』で謙信の幼時の居住地として舞台になったことはあったが、地元ロケなんかしなかっただろうし当然現代の話じゃないし)。見てみると、まー知ってるところがほんとに多々出てきて驚くばかり。田園風景となると似たようなところがあちらこちらにあるから特定は難しいが、中心市街地の古い街並(近年そっちを観光資源にと力入れてるらしい)のほうは市民なら知らない者はいないところばかりなので「ここだ」「あそこだ」の連続。とくによく出てきたのが、市街の真ん中を流れる西谷川に架かる神明橋(しんめいばし)。裏路地へ折れたところにある車一台の幅しかない狭い橋だが、よく通ったわー。橋の一方の袂に小林治療店(鍼灸)てのが映ってたが、そこの1階にあった加藤床屋の奥さん(といってももう老齢のはずだが)と遠縁で何度か髪刈ってもらった。映画ではまだ紅白のサインが回ってたように思うが、近年あそこ通ったときにはウッカリしてたのでほんとにまだ店やってるかどうかは判らない(やってても当然代替わりしてるだろう)。唯一行ったことがなかったのはキーポイントの1つになってた森上(もりあげ)集落にある南部神社またの名を猫又権現。http://www.city.tochio.niigata.jp/kankou/event/hyakuhattou.html ここはいずれ行ってみたい、ホラー書くときの素材になるかも(って書く気もないくせに?)。も1つキーポイントの静御前の墓(栃堀地区)は行ったことがある。静御前栃尾で死んだ(!)という世に数多いおらが村の義経伝説の1つだが、それより可笑しいのはその栃堀と森上は車でも2、30分かかるほど離れてて、映画のように地元高校生が今日はあっち明日はこっちと気軽に行くようなところじゃないんだよね。でもまあそんなのは旅番組でもよくあるご愛嬌だし、そもそも映像作品の(にかぎらずフィクションの)リアルさ云々ってのはそういうこととは別の問題のはずだから、創作の手法としては全然気にならずに楽しめた(平(たいら)地区の写真マニアが集まる喫茶店ってのには笑ったが。大体喫茶店って栃尾にゃもう1軒もないんじゃない??)。あとこれは『マリと子犬』や『天地人』も同様だが新潟弁(正確には中越弁)を使ってないのは多分あまりに全国区じゃなさすぎるからだろう(唯一「ごうったれ」という罵倒語が出てきたが、これは個人的にちょっと意味解釈が違ってた。意地っ張りというよりガサツとか強引とかうるさいってことじゃないかと)。
総じて淡々としたタッチの中にホラー風味というか学校の怪談風味も散りばめられてたりして、小ぢんまりとしていながら佳品になってたと思う。ヒロイン役の寺島咲は若い頃の有森也実(近年はすっかりサスペンス女優化してるが実は結構好き)にちょっと似た感じもあってなかなか魅力的。またとないかもしれない?栃尾映画に感謝。

(↑舞台の1つとなった秋葉神社のある秋葉公園より城山&表町地区を望む。中央上方に見える立ち木が二本ほどある狭い平地が栃尾城址で、そこへの坂道が映画に出てきた。下方の表町は古い雁木(がんぎ)通りのある地区でここも使われてたと思う。外れのほうに神明橋がある。こうして見ると随分凄い山に挟まれてる街だとあらためて思う。07.10月筆者撮)