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佐藤慶

佐藤慶死去。http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2010/05/07/03.html

運さえ向いていればハリウッドでも通用しただろう数少ない俳優の1人だとずっと思ってた。といっても例によって映画のほうの出演作は全く知らず(なんていうと映画通の人からは「出演映画も見ずに俳優を語るなかれ」とかいわれるかもしれないが)、専ら大河ドラマ──それもごく初期の──で他の役者とは明らかに違う存在感を見せる俳優として強い印象があった。『太閤記』の明智光秀、『樅ノ木は残った』の陰謀家伊達兵部、『三姉妹』のニヒルな浪人毛谷右京。どれも正義側とはいえないどちらかといえば──いや『樅ノ木』では明らかに──悪役だが、この人がやるとコテコテの悪者にはならず不思議な深みというか凄みが生じる。とにかくあの面相が独特すぎる。あんないい顔をした役者、考えてみてもほんとに他にいない。大分後年だがやはりNHKでの単発ドラマ『天城越え』(田中美佐子主演・和田勉演出)で殺される無名の土工役も妙に印象に残ってる、台詞もほとんどない役にも拘らず。民放では田宮二郎に先立つ主演作『白い巨塔』が有名だが残念ながら見ていない。その作で一気にお茶の間での人気を得たのち間もなく放映された主演連続ドラマ『蒸発』ではタイトルより先に「佐藤慶主演」とデカデカと出されてた。主婦向けの午後ドラマ(TBSだったらしい)ながら当時流行?してた所謂「蒸発」というテーマをいち早く採りあげた社会派作だっだようだが、これまた残念ながらほんのちょっと覗いたという程度だった。因みにこの『蒸発』はWiki佐藤慶の項の履歴にはなぜか載っていない。
上の写真は昨年東京の某映画館がやったという「佐藤慶特集上映」のポスターで、2ヵ月も連日出演作をかけ続けたらしい。こういうの見ると映画もちょっと試してみたくなる。
ご冥福を祈ります。
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