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『となりの女』


大原麗子というと個人的には『となりの女』(86年)だ。
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-22602
所謂〈金妻〉シリーズの延長上にある作でテーマは勿論「不倫」。一見マジメそうな公務員の夫(桑名正博)が近所付き合いのある人妻(故・范文雀)と一夜の過ちを犯し隠し通そうとするがやがて妊娠騒動に発展しバレてしまう。夫への疑惑に苦しむ妻(大原)は隣に越してきた渋い男(藤竜也)の優しさに救いを求めてしまうが…という話。天真爛漫だったり型破りだったり男勝りだったりといった役柄イメージがある大原麗子がごく平凡なサラリーマンの夫に尽くす精神的にも立場的にも弱く大人しいごく普通の主婦を演じるところが妙に新鮮だった。のみならずアクション物硬派物のイメージが強い藤竜也がこれまた至って物静かで心優しい市井の中年男をやったり派手なロック歌謡で売ってた桑名正博が一転髪をバッサリ切って眼鏡に口髭のマザコン亭主に扮したりと随所でミスマッチの面白さが目立つドラマだった。出演者に浅野ゆう子の名前があるが奇妙なことによく憶えていない。多分ヒロインの主婦仲間の一人といった程度の役じゃなかったか──浅野が所謂トレンディドラマで人気爆発する88年より2年も前の作でまだそれほど女優として高く買われていないころだっただろうだからありえないことじゃない。主題歌は竹内まりや「恋の嵐」でこれがまた好きだった。後年桑名が『夜もヒッパレ』で竹内まりやの話題になったとき「昔オレが出たドラマの主題歌が彼女だった」と懐かしそうにいってた。なおこの作品はソフト化はされていないようだ。あとF・トリュフォーの映画に『隣の女』(81)というのがあるそうだが遺憾ながら未見──内容紹介からすると(当然ながら)意識はしていそうだが。
ということで「恋の嵐」↓。


大原麗子さんのご冥福を祈ります。