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『MEN’S CLUB』中島武治

去年発作的に入手したものシリーズ… というわけではないが、『MEN'S CLUB』70〜80年代バックナンバー。

それも表紙のモデルが中島武治の号のみ。'70後期から'80初期の時代にこの雑誌を買ったことのある人ならこのモデル↑の顔には必ず見覚えがあるはずだ。それほどこの雑誌のシンボル的存在になってる人だったと思う。カッコいいモデルは他にも何人もいただろうが、これほどアイビー/トラッドの似合う人もいなかった。ルックスからしてきっと外人さんの血が流れているんだろうが、純粋な外人よりもこの人のほうがああいう格好がピタッときてた(世界一アイビーが合うのはアンソニー・パーキンスだとよく書かれていたがあまりピンとこなかった)。それ以前にも団時朗とか蟇目良(新潟出身らしい)など矢鱈バタ臭い有名混血モデルは大勢いたようだが、ことアイビー/トラッド路線に関するかぎりはこの人のほうが断然上だろう。石津謙介やくろすとしゆきよりもむしろこの中島武治こそがあの手の男性ファッションの流行と普及に強く貢献したんじゃないか。どれだけいい服を作ろうがどれだけいいセンスを説こうが、それをこれほどにカッコよく着こなして実践できるモデルなくしてはあれほど当時の若者を惹きつけなかったはずだ(ヤンキーだった島田紳助もこの雑誌に憧れてアイビーに転向し見事〈街のアイビーリーガー〉コーナーに載ったと言ってた)。そんな中島氏がその後どうしているんだろうかと以前検索してみたことがあったが、そのときはなんとまだモデル事務所に所属して(当然壮年期だが)そういう仕事を続けているようだった。でも今は調べても判らなくなってしまってるので、さすがにもうやめたのかもしれない。
男性の有名モデルというと草刈正雄はじめ俳優に転進する人が多いと思うが、この中島さんがそういう道へ進まなかったのはちょっと意外な気がする。同時期に『MEN'S CLUB』でよく一緒に載ってたモデル伊藤治はその後俳優伊藤敏八となって活躍したのに(残念ながら近年他界したとのことだが)。芸能界となると単に容姿だけじゃなく性格とかキャラクターも合ってないと難しいものなのではあろうが。尤も他の道へ行かずこの雑誌の〈顔〉として歴史に刻まれてくれてるだけのほうが隠れファンとしては何となく嬉しいようでもある。